BLのデザイン

BL漫画の装丁を中心に、デザインを真面目に見ていくブログです。装丁やデザインについて勉強中。

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2013/02/24

東京心中 上・下:トウテムポール

今回は、トウテムポール先生の『東京心中 上』『東京心中 下』を紹介させていただきます。
本屋さんで平積みされていたとき、すっごく目立っていて、思わず買ってしまいました!

今はどこの書店さんでも売り切れ状態で、絶賛増版中みたいです。アマゾンさんでも新品の在庫が無い状態です。(すごい。売れ売れですね!)
もうすぐ(2月28日に)続編の『愛してるって言わなきゃ殺す―東京心中2』も発売になりますので、それに合わせて紹介させていただきました。
さらに3月29日には『君も人生棒に振ってみないか?東京心中(3)』も発売になります。
このシリーズから目が離せませんね!
きっとその頃には、上・下巻ともまた書店さんに並ぶようになると思うので、未読の方は是非、続編共々、購入してみて下さいね。



では、基礎情報です。

『東京心中 上』『東京心中 下』
トウテムポール (著)
出版社: 茜新社(EDGE COMIX)
発売日: 2013/1/25(同時発売)
商品の寸法: 18 x 12.8 cm
装丁:山下さとし

TV業界に入りたての新米AD、宮坂絢(みやさか けん)は
厳しい先輩ディレクター、矢野聖司(やの せいじ)の下で働くことになる。
現場は厳しく、悪態と暴言は当たり前、こき使われた挙げ句に辞めることを考えるが、
ある日、映画の話をする矢野が見せた笑顔にふと魅せられて…。
男同士で!? 上司と部下で!? 問題だらけの恋愛は、一体どこに向かうのか??
大人気WEBコミック単行本化、ついにシリーズ連続刊行開始! !




この作品は、茜新社さんのBLコミックアンソロジー『OPERA』さんから発売されたコミックスです。
http://www.akaneshinsha.co.jp/online/edge/edge-top.htm
『OPERA』さんといえば、私事ですが、高校の頃、友達にすごく趣味が良い子がいて、その子が漫画雑誌だとOPERAが大好きで、「ああ、やっぱり趣味がいいな!」と思った、という思い出があります。だから今でもOPERAを見ると、その友達のことを思い出すんですよね(笑)。今も仲良いです!
すみません、脱線しました。

『ボーイズラブ、進化系。』というコンセプトで作られたアンソロジーで、確かに当時の私にはちょっと新鮮な印象がありました。ちょうど中村明日美子先生の『同級生シリーズ』が連載されてた頃です。(現在も続編が連載中ですね!)
今でこそ、奇抜な作品や、文学性の高い作品は多く見られるようになりましたが、私の中では、OPERAさんがムーブメントの火付け役のように勝手に思っています。
毎回テーマがあって、表紙もそれに合わせたデザインです。目が肥えたBL好きの観賞にも堪える漫画雑誌だと思います。
次号の『OPERA vol.37 -◯◯差-』は、2月28日発売の『愛してるって言わなきゃ殺すー東京心中・2ー』と同時発売だそうです。本誌の方も合わせてご注目下さい。



装丁を担当されたデザイナーさんは山下さとしさんです。
http://yamashita-satoshi.com/
装丁も、もちろんですがフライヤーやロゴデザインなど幅広く活躍なさってますね。
ご本人はレイアウト業という言い方をなさっています。
OPERA本誌での告知等のレイアウトも担当されているみたいです。



この作品の装丁は、『同時発売』という状況を、フルに生かしたデザインだと思います。
只でさえインパクトがあるデザインなのに、二つ並ぶとさらに迫力です!
東京心中5
BL漫画の場合、一巻で完結するものや、続き物でも発売日と発売日の間がものすごく空いてしまったりするので、こういうシュチュエーションを作るというのは結構難しいのではないでしょうか。
出版社さんは、すごく魅力的に見える販売方法を考えていらっしゃいますよね。



また、配色が、カラーバリエーションっていうのとはまた違うと思いますが、色違い、みたいな感じで惹かれました。
規則性のある2セットっていうのは、魅力的に見えます。萌え…というか。
日本人は色違いに弱いっていうのは、あながち嘘でもないかもしれませんね(笑)少なくとも私はそうです。
東京心中1東京心中2
上巻は、青を主体にした、黄色との配色。下巻は赤を主体とした、緑との配色です。
ほとんど補色ですね。(色相環で正反対の位置にくる色の組み合わせということです。一般的には、このような配色は目立つ配色だとされていますが、同時に扱い方が難しい配色でもあると思います。)

トウテムポール先生のブログで拝見したイラストレーションも、このようなビビットな配色のものが目につき、素敵だなと思いました。トウテムポール先生の個性が一目で分かる表紙ですね!



このように色数の少ない配色は、それぞれの色の美しさがより重要になってきます。
特に『下』巻を見ていただけると良くわかると思うのですが、この赤、非常に『こく』がある赤ですね。まろやかというか。
おそらく赤に蛍光ピンクのインクを混ぜているのだと思います。
東京心中6
『上』巻の青にも、おそらく同じように蛍光ブルーが使われているのでしょうね。
『蛍光インク』と言っても、そのままの蛍光色を使いたいから、というだけではなく、色に深みを与えたり、透明感を出したりすることにも使われています。
技術の発達によって、デザインがものすごく身近なものになった現代でも、このあたりのことは、まだまだ職人的な部分を残した作業ですね。

(※修正です!!山下さんご本人のお話しによると、この赤と青は、鮮やかですが、蛍光を混ぜているのではなく、青はDIC577、赤はDIC565というインクらしいです。より職人的なお話しでした。
まぁ、割と頻繁にこういうことがあるので、私の話なんてあんまりあてにしないで下さい、と言い切ってしまうのもなんか悔しいので、頑張ります!)


(「色なんて、デジタルの画面で見た時が一番綺麗なんじゃない?」と、私も以前まで思っていましたが、実物の方がずっと美しかったです。質感というのはもちろん紙媒体でしか体感できないものですが、色も体感で受け取るものがあるのではないかと思いました。もちろん、作品によって適材適所だと思いますが!)



カバーの紙は、コート紙にマットPP加工とかだと思います。
とろっ、っとした色との相性が抜群で、非常に美しいです。



また、この作品の表紙は、漫画のカットで構成されたイラストレーションです。裏面も実際作中にある漫画の場面で構成されています。
カバーのそで部分、カバー下の本体表紙も漫画!まさに、『漫画づくし』な装丁です!
確かに『漫画』の一場面って、イラストレーションとしても、とても美しいですよね。
『漫画』の面白さ、『漫画』の美しさが際立っている装丁だと思いました。
東京心中3
特に裏面は、セリフまで記載されていますので、作品の雰囲気がわかって良いです。(試し読み、みたいな?)
あらすじの文字を入れている装丁はよくありますが、デザイン上邪魔になっていると感じることがあるので、こういう手法はおもしろいなと感じました。
もちろんこの作品だからこそ出来たデザインだと思います。



帯はトレーシングペーパーだと思います。透け感のある紙です。
帯に書いてある文字が、上巻では赤、下巻では青なんですよね!
東京心中7
ここで、互いの色をさし色に用いることによって、ぐっと一体感が深まって、二つで一つの作品であることが際立ちます。
粋な演出です!



この作品の装丁の魅力は、ただ単に目立っているということではなく、『手に取りたくなる』感じ、だという点にあると思います。(バリエーションのあるものって、そろえたくなりますよね。そういうことも関係しているのかな?と思います。)
デザインで、「ただ単に目立てば良いんじゃないんだよ」というのはよく言われてることで、もちろん、デザインの話以外でも言えることですよね…。
この作品の装丁は、ただ単に目立っているというだけでなく、購買欲をくすぐるデザインなんじゃないかな、と思いました。
やっぱり漫画は買って、読んでいただいて、なんぼですからね。
装丁のデザインについて熱く語っておいてあれですが、デザイン性云々よりも、買っていただける装丁というのが『良いデザイン』なんじゃないかなと思いました。
『手に取っていただけるデザイン』について、再び考えるきっかけを頂いた気がします。

装丁のイメージから、ドタバタコメディーなのかな?と思っていましたが、アンニュイな部分もあって、そこがまた非常に面白かったです。
話のテンポなのか、キャラクターなのか、イラストなのかわかりませんが、ちょっと「ん?」なんか違う!面白い!と思う部分があります。本当に不思議な魅力です。
ぜひ、この感覚を味わってみて下さい!



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2013/02/18

equus:えすとえむ

今回は、えすとえむ先生の『equus』について書きたいと思います。


何を今更、という感じかもしれませんが(笑)。
装丁が素晴らしいBL漫画と言えばコレ、みたいなイメージですよね。「装丁買いした」なんて人もいるのではないでしょうか?
この作品は、この『BLがやばい!2012年度版』で第6位にランクインしてましたし、とても有名な作品です。
ケンタウロスの恋を描く、ファンタジー作品ということで、発売当時は、私もその設定の独特さに驚いた記憶があります。
そして装丁を見て愕然。『こんなこと、コミックでしていいのっ!?』と、漫画の装丁の概念が変わりました。



基本情報です。

『equus』
えすとえむ (著)
出版社: 祥伝社(Feelコミックス オンブルー)
発売日: 2011/4/25
商品の寸法: 18.2 x 12.8 cm
装丁:teracco

ケンタウロスと恋をする──。異色のファンタジック・ラブストーリー集! 【ケンタウロス】ギリシア神話に登場する、上半身が人間で下半身が馬の種族。寿命は数百年に及ぶ。 ケンタウロスと人間たちは……日本の大学では誰よりも普通の恋をし、平安末期の武家社会では主従関係を結び、西欧の悪趣味な館では奴隷と主人となった──。さまざまな時代と国で交わされる、切なく扇情的な異種恋愛譚8編を収録。商業誌未発表の今シリーズに加筆修正の上、「Bay Silver 3」を描き下ろし。




またまた、祥伝社さんのonBLUEさんから出版されたコミックスです。
このブログでonBLUEさ作品を紹介させていただくのは三回目になります。
確かに私はonBLUEさんのファンではありますが!出版社さんについても、まんべんなく紹介させていただきたいので(以前も言った通り)、
どうしても紹介したい、というか、せざるを得ないくらいの素晴らしい作品がたくさんあって、ちょっと悔しいくらいです(笑)。

そういえば、onBLUEさんのロゴマークについてまだ紹介させていただいてませんでしたね。
equus6.jpgequus7.jpgequus8.jpg
小文字の『o』と大文字の『B』をモチーフにしたデザインです。
作品に合わせて、文字自体の色と、oの中の色を変えられてるんですね。非常にかわいい!
きちんと、ロゴマークの造形を生かしつつ、作品の個性とも合わせられる、素晴らしいロゴマークだと思います。



そして、この装丁を担当されたのはteraccoさんです。
http://nectar.pepper.jp/index.html
デザイン業の他には、イラストレーターとしても活躍されている方です。
イラストレーションの方も拝見させていただきましたが、非常に可愛いらしい作品でした!
小学館のえいご絵本シリーズ』のイラストレーションを担当されています。
あと、気になったのは、フリーになる以前『お茶犬』関連のデザインもされていたそうです。
(本人にお聞きしたところ、キャラクターデザインの担当ではないということでした。でも、十分すごいと思う。)
あの、ちょっと言うの恥ずかしいんですけど、私、小学生の時「お茶犬クラブ」っていうお茶犬大好き同盟を友達と作ってて(笑)それくらい当時は好きだったので、結構びっくりしました!
装丁では、えすとえむ先生の『クシュラル』の担当もされています!こちらも話題作ですね。是非チェックしてみて下さい。



この作品は、ケンタウロス達を主人公にした短編集ということで、様々な時代や国が描かれています。
装丁のイメージとしては、実在する歴史書ような雰囲気に仕上げたかったのではないでしょうか。(というか、私はそういうイメージを受けました。)
良い意味で格式高いイメージといいますか。実際の値段が安いと感じるくらい、高そうに見える。
equus1.jpg
かなりびっくりするような設定であるにも関わらず、「あ~あったよねそういうこと」みたいな感じで、違和感なく受け入れられたのは、装丁の効果もあるのではないでしょうか。



ぱっと目につくのは、まず金の箔押しですよね。
『箔押し』は、特にデザインに詳しくないような方でも一度は耳にしたことがあるくらい、メージャーな特殊加工みたいです。
(人気の加工だけあって、箔押しを取り扱っている印刷会社さんはたくさんあります。ですが、私のような貧乏学生にしてみれば、未だあこがれの贅沢です!オフセット4C印刷の3倍くらいの値段がするらしいです。)
equus2.jpg
この箔押しの効果で、非常に豪華で、格式あるイメージに仕上がっていますね。



カバーに使われている紙は(多分)ジャガードGAっていうやつだと思います。
織をイメージしたエンボス加工の紙で、布みたいな凹凸があります。結構しっかりした紙なので、壁紙みたいな感じですね。
equus5.jpg
紙自体に凹凸があるので箔押しすると、ぎゅっと沈んで、箔押しが引き立ちます。
箔押しと相性がいい紙かもしれません。
equus4.jpg
凹凸がある分、発色がマットになります。
(確か、色はスノーホワイトしか無かったと思うんですけど、クリーム色っぽく見えますね。こういう色に印刷してるんでしょうか?)
こういう紙は、色彩を鮮やかに見せたいイラストレーションには向いていないかもしれません。ですが、この作品の雰囲気とはすごく合っていますよね。

この紙なら、汚れや日焼けもそんなに汚い感じにはならないはずです。
革の財布みたいに、『味』になるのではないでしょうか。
そういう意味も含めて、長く大切に読まれて欲しい作品です。



表紙には額縁と植物模様。
画面下方には植物のイラストレーションがあります。
植物の緑に合わせて、一番外の枠の色は、黒ではなく深い緑。
カバー下、本体表紙にも緑のインクが使われています。
equus9.jpgequus10.jpg

このように、額縁と植物模様で装飾された本の表紙って、ウィリアム・モリス(1834年-1896年)のケルムスコット・プレスで制作された書物を思い出します。(デザイン史で一番最初に習うやつです。テストに出ます(笑))
equus11.jpg

それまで書籍に求められることは、『情報』だけだったのですが、
この書物(ケルムスコットプレス)では『美しさ』にこだわって作られている、という点で、デザイン史的には大きなポイントになります。
装丁デザインの元祖というか…。文字の形をデザインするという概念も、書物のデザインから生まれたみたいですし。
確か、アーツアンドクラフツ運動(というデザインの運動)も、ここからスタートしたんですよね。
そう考えると、『装丁のデザイン』って本当に偉大だな〜って思います。

現在の書籍の価値は、また『情報』に重点を置いた方向に進みつつありますね。(電子書籍であったり、そもそも書籍ではなく情報単体であったり。)
アンチ電子書籍というわけでは無いのですが、デザインの歴史を踏まえて考えると、単純に、ちょっとさみしい気もします。もちろん、デザインって時代の流れによって変わるものだと思うので、電子書籍自体はまったく悪いものだとは思ってませんよ。(だって便利ですもん。しょうがないって…。)

話がちょっとそれましたが。
この作品のような装丁に、『伝統ある』みたいなイメージを抱くのは、モリスの装丁デザインからきているのだと思いました。



そして、私がこの装丁で最も好きなところ!
作品と作品の間の遊びのページに、紐のしおりの写真が印刷がされていること!
equus3.jpg
上製本の文芸書みたいに、紐の写真がプリントされているんですよね〜。
非常に可愛らしい上に、作品と作品の間の「ちょっと一息」みたいな余韻を生み出します。
ソフトカバーのコミックスだからこそ、このような演出がきいてますね。
作品の雰囲気ともよく合っています。

物語に夢中になっていると、間のページにあまり意識が向かないものですが、(私も始め気づかなかったです!)
読み終わって、改めてもう一度読み返す時など、こちらも楽しみながら読んでみて下さい。



モリスのケルムスコットプレスの書物が、デザインの革命であったように、
私の中では、この作品がデザイン意識へのちょっとした革命になりました。
本が本であることの素晴らしさを、あらためて実感させていただきました。
ぜひぜひ、手に取って、長く持っていただきたい作品です。
えすとえむ先生は、最近は一般誌でも活躍なさっていますね!
同じく、ケンタウロスを主人公にした作品で、『はたらけケンタウロス!』も、大変面白いので、未読の方は是非チェックしてみて下さい!



ただ今実家に帰省中です。実家の母が、私のブログを見たらしく、一言、「長い」と言われました(笑)。確かに(笑)。
語りたがってて鬱陶しいな、とは思います。いまさらですが。
きちんとデザインを学ばれた方には「なにを当たり前のことを偉そうに」と思われるかもしれませんが、勉強中の身ですので、毎日が発見の連続で、
『うおおお!これは皆に教えたい!!』という衝動の現れでこのブログをやってます。
これからもウンチク垂れ流しながら頑張りたいと思います。



著作権者様から、このブログで使用している画像の削除依頼がありましたら、速やかに対応させていただきますので、ご連絡下さい。

2013/02/08

著作権の問題について。

このブログは、BL漫画の表紙について評論・研究する目的で作成しています。
著作権の侵害行為を目的にしているわけではありません。
書店さんやAmazonさんで公開されている、評論に必要最低限の画像のみで紹介させていただきます。
また、これまで紹介させていただいた作品の著作者さんからの申し出があれば、すぐに画像を削除させていただきたいと思います。
お手数ですがご連絡下さい。

私は、紹介した作品を、
是非実際手に取って、買っていただきたいという気持ちで紹介しています。
しかし、それはあくまで私の認識です。
装丁も、漫画も、純粋美術だと思っていますので、研究したいという気持ちはありますが、
私のブログは、あくまで私個人のデザイン研究が目的であり、『勉強させていただいている。』という気持ちでやっています。
本当に、心から好きで、尊敬する出版社さんの権利や、デザイナーさん、漫画家さんの権利を侵害してまでやるようなことではないと、私も思っています。
私のやっていることが、BL業界全体の障害にならないように、ご迷惑にならないように、今後とも配慮していきたいと思っています。

2013/02/07

宇田川町で待っててよ。:秀良子

今回紹介するのは、秀良子先生の『宇田川町で待っててよ。』です。
宇田川町1

秀良子先生は、2010年に『イケメンくんとさえない君』でデビューしたばかりの新進気鋭の漫画家さんです。
そして、今ものすごく注目されています。
設定やキャラクターに取り立ててびっくりするものが無かったので、最初は彼女の作品の魅力に気づいていなかったのですが、『彼のバラ色の人生』を読んだあたりから、「あれ、この人なんか違う!」と思い始め(笑)、どっぷりファンになっていました。
抜群に、センシティブな世界観を持つ漫画家さんなんです。大好きです。
ちなみに、『彼のバラ色の人生』は、『2013年度版このBLがやばい!』で10位にランクインしましたね。
とんでもないインパクトのある設定や、大御所の漫画家さんの作品が並ぶ中で、この順位はすごいと思います。



では、基礎情報から。

『宇田川町で待っててよ。』
秀良子 (著)

出版社: 祥伝社(Feelコミックス オンブルー)
発売日: 2012/10/25
ページ数: 192ページ
商品の寸法: 18 x 13 xcm
装丁:小林満(GENI A LOIDE)

渋谷区宇多川町。
人通り多い街中で、同級生・八代の女装姿を目撃してしまった百瀬は、
その日から毎日、「あのこ」のことを考えてしまう。
一方、そんな百瀬の様子に戸惑いつつも、熱の籠もった目線をそらせない八代は
渡された女子高の制服に袖を通し、彼の前に立つが…。

臆病な女装男子と、一途すぎる男子高校生の不器用で青いラブストーリー。




またまたonBLUEさんのコミックスです。
なるべく、まんべんなく出版社さんや、デザイン事務所さんを取り上げたいと思っているのですが、onBLUEさんのコミックスの装丁は、本当に、素敵な物が多い!
特に、この装丁は素晴らしいので、どうしても紹介させて下さいっ!

もちろん、私の好みや流行にとらわれず、素晴らしいものは紹介したいなと思っているので、「この装丁素敵だったよ」とか、「このデザインについて知りたい」とかあったら、Twitterやコメント欄でアドバイスを下さると嬉しいです。



装丁のデザインを担当されたのは、
GENI A LOIDE(デザイニングスタジオ・ジェニアロイド)の小林満さん。
http://genia.blog20.fc2.com
この方も、漫画の装丁では有名な方です。
ジョージ朝倉の『愛蔵版 恋文日和 ⑴・⑵』は、あまりにも装丁が美しくて、
本屋さんでみつけた時、買うつもりは無かったのに買ってしまいました。
最近では、『ジョジョ展』のロゴタイプデザインや、
ジョジョ展で発売されるポスターやグッズのデザインを担当されたそうです。
ブログで拝見させていただいたのですが、ものすごく魅力的なデザインでした。



この表紙を知らない人が見て、まず思うであろうことは
「女やん!」と。
宇田川町2
(女じゃないです。女装した主人公です。)
この作品は、いわゆる『女装』がテーマの作品です。
これまでも女装をテーマにした作品はいくつかありましたが、この作品では、『変に女装が似合ってたりしない』等身大の主人公を描いていているという点で、新しいと言えるのではないでしょうか。(最近は多いですよね。)

デザイン的な面から見ても、ここまで完璧に女装した人物をメインにした表紙は、あまり無かったと思います。
今のBL業界は『BLっぽさをなくす』傾向があると、以前Twitterでつぶやきましたが、
むしろ『BLっぽくなくてもいける!』という風に、新しい流れが生まれた結果なのかもしれません。
BL業界での女装ジャンルの傾向については、またいずれ詳しく書きたいと思います。
(結構重要な意味合いを持っている気がするので。)



では、デザインをしっかり見ていきます。
表表紙は、横顔とタイトルだけの大胆かつシンプルな構図なのですが、
裏表紙に百瀬(攻めのね)の横顔があります。
宇田川町3
表と裏で、シンメトリーな構図の美しさに加え、「見つめ合ってる」という意味合いがプラスされて、なおトキメキます!
見る人の目線も、人物(八代)の目→タイトル→裏返して人物(百瀬)の目、という流れなので、見つめ合ってる情感に感情移入しやすいのかもしれません。



また、背景の色も大胆で目につきますね。
この蛍光ピンクは特色のものでしょうか?すっごくキレイですよね!
(本当はもっともっとキレイなんです!鮮やかな蛍光ピンク。)
特色って言うのは、C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=黒、のCMYK意外の色ってことです。金とか銀とか、あと、蛍光カラー。
最近は、特色にも色んな種類があって、新しい色を作ったりもできるみたいです。表現の幅が広がりますね。



さらに、キュンとしたのが、ソデと、見返しの色を合わせてあること!
(見返しとは、最初に開いたページの、右側です。ソデは表紙の続きの部分)
宇田川町4
この装丁は、ソデまでイラストがあるので、
髪の毛の色と、見返しの色を合わせてあるんですね。
レモンイエローがかわいい!

裏表紙側の見返しはこんな感じで、
宇田川町5
百瀬は黒髪だから、裏面の見返しは黒なんです。
素敵!こういう繊細なこだわりを見せている装丁は、秀良子先生の作品と合っているのかもしれません。
秀良子先生の作品も、大胆さと繊細さを合わせ持っています。



表紙の紙は、コート紙に、UVニス加工あるいはPP貼加工を施したものだと思います。
つるーん、としてます。
艶やかな光沢と、耐水性がある紙で、身近な物だと、女性向けファッション紙の、表紙の紙の手触りと似てますね。
もちろん紙ですので、水浸しにしたらぼろぼろになりますけど、少しの雫ならしみ込まないくらい、耐水性がばっちりです。
(表紙の美しさに感動してこぼれた涙とかなら余裕で平気です!)

第一回目の『新宿ラッキーホール』を紹介する際、紙についていい加減なことを言いましたが、おそらく、コート紙にマットニス加工をほどこしたものではないかと。(光沢を押さえたニス加工です)
※正解は、コート紙にマットPP加工だそうです。
後から紙に施すような加工は、いくつかありますので、より最適な紙をカスタマイズすることができるんですね。



帯にはトレーシングペーパーが使われています。厚みがあるので(たぶん168kgくらいの紙でしょうね)ちょっと高級感もあります。
帯も、この装丁の見所となる点で、
トレーシングペーパーは透け感があるので、表紙の、鮮やかなピンクが透けてみえてます………。
宇田川町8
こ、これはもう、たまんない色気っ!
透け感のある女性用下着みたいな魅力がありますね。清楚なブラウスとか。

帯に、トレーシングペーパーのような透け感のある紙を使うことは、今はもうそんなに珍しいことではないのですが、この作品では、『女装』がテーマということで、作中でもファッションについても触れている部分が多々あります。
自然と、そういうものを彷彿とさせる、ベストで、かつ天才的な紙の選択だったのではないでしょうか。

ただ、ちょっと気になったのは、表紙の紙と帯のサイズが違ってて、
膨らんじゃうんですよね。もわ〜んとなる。
宇田川町6
おそらく、このトレーシングペーパーは、空気中の水分による膨張が殆ど無いので、
(トレーシングペーパーは樹脂を大量に含んでいるので、プラスチックみたいなものだから)表紙の紙の膨張についていけなくて膨らんじゃうんでしょうね。
紙の痛みの原因にもなるので、硬いトレーシングペーパーを帯に使用する際は、カバーよりも大きく裁断する必要があるのかもしれません。
帯を捨てる人なら問題ないかもしれませんが、こんなに魅力がある帯を捨ててしまうのは
正気の沙汰でないと思います。



カバー下は、おまけ漫画です。
(是非是非買ってご確認を!)
このブログでは取り上げた作品の中では、初のカバー下おまけ漫画!
カバー下がおまけ漫画や、読み物系だと嬉しくなっちゃいますね。
ここにも読むところがあったのか!と。
(デザートの後に、「これ、お茶菓子です」と、スッと二品目が出される感じ。まだあったのか!と。)



タイトルにもある通り、
この作品の舞台は渋谷区宇多川町。
ですから、目次のページや、作品の間の遊びページに、渋谷の写真がひいてあるんです!
宇田川町9宇田川町10

(第一回目に取り上げた、『新宿ラッキーホール』の中にも、写真が使われていましたね。私、写真ひいてある装丁大好きです!)
二次元のものを、三次元に変換して想像出来る喜びですね〜。



と、見所たっぷりの素敵な装丁でした!
もちろん作品自体もとても素晴らしくて、お気に入りの一冊です。
別に恋愛に関わらず、好きな物を好きって言えるのは素敵だなって、じんわり思いました。
私も、BLとデザインと秀良子先生が大好きっ!!
秀良子先生について詳しく知りたい方は、雑誌on BLUEのvol.7に特集が組まれていたので、おすすめです。
今後の秀良子先生の活躍に大注目ですよ!

「デザインを見ると、その時代背景が見える」というのは、デザイン史の講義でも教えられることですが、実際にそれを、ほんの少し体験しているような気になりますね。(本当に気になるだけですけどね。)
自分でもこんなにBL漫画の装丁に興奮して滑稽だな、とは思うのですが、なんだか楽しくなってきました。
今後も、BL漫画でデザインの勉強をさせていただきたいと思います。

2013/02/04

囀る鳥は羽ばたかない1:ヨネダコウ

第三回目の今回は、
ヨネダコウ先生の新刊、『囀る鳥は羽ばたかない』の装丁デザインをみていきます。
囀る1

発売されてまだ間もないですが、BLファンの間ではずいぶん話題になってるようです。
私も、この作品で一気にヨネダコウ先生のファンになってしまいました。

ヨネダコウ先生は、『2009年度版このBLがやばい!』で、
商業誌デビュー作の『どうしても触れたくない』が見事3位に選ばれ、一躍注目を集めました。
拝読させていただきましたが、そこまで驚きはしなかったです。

それが、今回の作品では、ですよ!驚きました!
正直、しょーじきっ、前作よりずっといいっ!!
やくざの頭が主人公ではありますが、いわゆる任侠ものではありません。マゾの話といえばそうですが、性交を楽しそうに描くような作品でもなく。
ああ、ストーリーや登場人物の魅力について語りたいことは沢山あるのですが、一応デザインブログを目指していますので、大人しく装丁について語ります。
装丁も相当いいです!



では、この作品の基礎情報いきます。

『囀る鳥は羽ばたかない 1』
ヨネダ コウ (著)
出版社: 大洋図書 (H&C Comics ihr HertZシリーズ 129)
発売日: 2013/1/30
商品の寸法: 18.2 x 13 cm
装丁:名和田耕平デザイン事務所

ドMで変態、淫乱の矢代は、真誠会若頭であり、真誠興業の社長だ。
金儲けが上手で、本音を決して見せない矢代のもとに、百目鬼力が付き人兼用心棒としてやってくる。部下には手を出さないと決めていた矢代だが、どうしてか百目鬼には惹かれるものがあった。矢代に誘われる百目鬼だが、ある理由によりその誘いに応えることができない。自己矛盾を抱えて生きる矢代と、愚直なまでに矢代に従う百目鬼。
傷を抱えて生きるふたりの物語が始まる……。


 

この作品は、大洋図書さんで出版されているihr HertZというBL雑誌が初出です。
大洋図書さんは、個人的に大好きな出版者さんなので、
こんなに早く紹介出来るなんて嬉しいです。
大洋図書さんのコミックスは、このihr HertZと、
もう一つ、CRAFTというアンソロジーがあるのですが、
ihr HertZの方が若干エンターテイメント性が高く、
CRAFTの方がストーリー性の高い作品を取り扱ってる、という印象です。
どちらもすごく面白いんですよ!
囀る7囀る8
(右がihr HertZのロゴで、左がCRAFTのロゴ)
ちなみに、ihr HertZのコミックスは、背の部分がテンプレートです。ですから、表紙に使われているタイトルロゴや書体に関わらず、背のタイトルは、ゴシック体で表記されています。
囀る6大洋図書さんのロゴや、テンプレートについてはまた別の機会に詳しく書けたらと思います。



装丁のデザインを担当したのは、名和田耕平デザイン事務所さん。
http://www.nawatadesign.com(わっ、有名所きた。)
素晴らしいデザインの装丁を、いっぱい、いっぱい、いっぱい、されているデザイン事務所さんです。
BL作品ではありませんが、有名なのは『夏雪ランデブー』や、
少女漫画だと『となりの怪物くん』や『好きっていいなよ。』の装丁デザインを手がけています。(両方ともアニメ化されてお忙しいようです)
おそらくこのブログでも、何度も紹介させていただくことになるでしょう。
某、有名装丁ブログでも紹介されているので、詳しく知りたい方はそちらをご覧下さい。



この装丁の魅力は、ずばり、空間の美しさ。
これにつきます。
囀る2

まぁ、その出来た空間っていうのは、どM男がふまれて出来た空間ですけどね。
絶妙なバランスです。(私事ですが、こういう構図でデザインするのヘタクソなんです。
すごく勇気がいる構図です)
人間の顔がこの位置に来るのは、普通ありえないです。(いや、「まぁ、踏まれることってあんまり無いからね〜」とか、そういうことではなくっ(笑))

顔は人物の中でもまず目がいく部分です。さらに言うと、目に目がいきます。(それは男女で違いがあるのでは?という意見もありますね。そういう研究もされているみたいです。だけど、おそらくそれは、相手を性的対象や恋愛対象として見ている場合の統計なんじゃないかと思います)
囀る3
不思議なもので、人間て、『目を合わせないと』という意識を持っているらしいです。
例えば、電車の車内広告なんかは、人物を使っているものが多いですよね。
「広告に、有名なタレント使えばいいと思ってるデザイナーなんて、邪道だ!」と言う人もいますが、そういう理由もあるんですかね。「見させる」技みたいな?
パッケージデザインだと、また話は別でしょうね。
漫画の装丁は、『目につかなければいけない』という、ポスター的要因と、『買わせないといけない』という、パッケージデザイン的要因がどちらもあって、本当に面白いです。

少し話がそれましたね、
目線の誘導は、タイトル文字→人物の顔だと思います。
しかし、パッと見では文字が入ってこないので(笑)、
『よく見なきゃ』という意識になります。
デザイン的には、こんなに見にくい場所(画面のすみっこ)に、見るべきもの(顔)があるのに、何故良いんだ!と、理解に苦しみますが。
う〜ん、どう言葉で説明すればいいんだろう…。
スパコーンと目に入ってきたら、すぐ忘れちゃうけど、ちょっと引っかかりがある方が、忘れがたい。というか惹かれる。ということですかね?(どう思います?)



そして、見づらいと言えば、タイトル文字も!
囀る9
位置こそ中心にありますが、画面に対してこんなに小さいんだよっ!?

しかしこの文字サイズが、空間との兼ね合いで、絶妙に美しいんですよねー。
書体にはシンプルな明朝体を使っているので、本当は、別に見づらくもないですし。
囀る4

前回紹介した、ヤマシタトモコ先生の『ストロボスコープ』では、イラストにタイトルをかぶせることによって、視覚的に一体感を出していますが、
囀る9囀る10
(並べてみて、どっちも美しい…!とうち震える)
この作品では、文字をイラストにまったくかぶせないことで、そこにある「間」を感じさせます。そういう「間」の感覚って、結構、日本ならではの感覚かもしれません。
『「無」がある』と、さり気なく気づかせてくれます。
これが「情緒」というものでしょうか。
(あああっ、この前の授業で情緒が無いって言われた記憶がよみがえるぜええ。ひぃ〜)
本当に………、本当に、勉強させていただいてます。

こういう、画面に対して文字が極端に小さいデザインは、ある意味今の流行です。
(本当にもう、どこのデザインコンペでも授業課題でも皆、こぞってこぞって小さい文字をね………。私もだけど)
昔のデザインは、「見せなきゃ!」という意識が強かったんでしょうか。
印刷技術の関係もあると思いますが。小さい文字を、活版印刷(判子みたいな印刷方法)なんかで刷ったら、つぶれたりしちゃいますし。
文字を大きく配置しなければならないと、デザイン上の無理が出てきますし、やっぱり不自然ですよね。適材適所というものがありますから。
今でも、中高の美術の授業では、『ポスターデザインをするときは、タイトル文字を大きく!』と教えているそうですが、(私もそう教えられました。)実際は、そういうものでも無いと思います。
小さい文字のタイトルでも、良いポスターはいっぱいあります。
もちろん、それを美しく造形するには、目線の誘導だったり、重さのバランスだったり、色味のバランスを考えなければいけないので、ずっと職人的で難しいことだと思いますが、
そうだからこそデザインは面白くて、胸が熱くなりますね。

カバーの紙は、ヴァンヌーボVG ホワイトだと思います。(たぶん、ね。)
とすると、前回紹介したストロボスコープで使われている紙は、おそらくヴァンヌーボVでしょうか。ちょっと柔らかかった感じがしたので。
ヴァンヌーボVGは、ヴァンヌーボVよりグロス(光沢)が強くて、比べるとちょっと固いです。(グロスのGなのかな?)



カバー下はこう。
囀る11
羽がランダムに散らされています。
バサバサ羽ばたいてるみたいな印象を受けました。
可愛いですけど、「羽ばたかない」っつってんだから、羽はもっとさり気なくてもよかったんじゃないかと思います。
背景の色と羽の色をもっと合わせるとか。一枚だけ、ちらっと配置するとか。



帯はカバーと同じイラストが印刷され、紙もカバーと同じものを使っています。
もし少しでも、帯に過剰なデザインをしようものなら、この構図の意義が一気に崩れてしまうので、当然ですね。
これは、無い方がいいタイプの帯だと思うので、宣伝の必要が無くなったら是非外してほしいです。
やっぱり、良いデザインというのは、
ギリギリの危うさの上に成り立っているのだなー、と思いました。



冒頭でも触れましたが、この作品は、ストーリーもとても、切なくて素晴らしいです。
実はこの作品、続き物で、今回は一巻なのですが、
一巻でこの装丁だと、二巻はどうなるんだろう〜?と勝手に胸をふくらませたりしています。

そして、この作品の続編ではありませんが、
ヨネダコウ先生の次回作、『NightS』が、今週末、2月9日にリブレ出版さんから発売されます。
(だからこのタイミングで紹介させていただきました。うふふ。)
そちらの装丁も、サムネイル画像で見ただけですが、タイトル文字のデザインが特徴的で魅力的でした。
大変楽しみです。はやく読みたい。


2013/02/01

新宿ラッキーホール:雲田はるこ

記念すべき第一回目は、雲田はるこ先生の『新宿ラッキーホール』を取り上げます。
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この作品から、『装丁ってすごいな!』というのを強く意識し始めたので、この作品を選びました。
雲田はるこ先生といえば、ほのぼのあったか系BLを描く漫画家さん。という印象が強かったので、結構、この作品の設定と装丁には驚きました。
本屋さんでこの漫画みつけた時の衝撃といったら!
明らかに異色を放っている!
表紙には下着の男、毒々しい色使い、ところどころに配置してある薔薇がなんだかとってもアダルティー。
こっちもだてにBL好きやってるわけじゃないですから、半裸の男くらいで驚いたりはしませんが、よくあるエロ漫画風のBLとも違うからこその、驚き。
というわけで、この漫画の装丁をみていきたいと思います。



まずは基礎情報から、

『新宿ラッキーホール』
雲田はるこ (著)
出版社:祥伝社(オンブルーコミックス)
商品の寸法: 18 x 13 x 1.5 cm
発売日: 2012/7/25
装丁:小田島等

かつては美少年、
その後はポルノスター。
叙情と欲望の魔術師・雲田はるこが描く、ゲイビBL!


BL漫画のサイズは大体大型で、18 x 13 cmっていうのは変わらないので、そのうち省くようになるかもです。

この作品は、onBLUEという雑誌に連載されていた作品です。
onBLUEさんは雑誌の方も大変装丁に気を使われていて、素敵な物が多いので、いずれ紹介することになると思います。



装丁を担当されたのは小田島等さん。
http://www.odajimahitoshi.com/
イラストレーターとしても活動されてる方で、時々、イラストノートとかで見たことあります。記憶違いでなければ…。


初めてこの装丁を見たとき、何となく、横尾忠則のポスターとかを思い出しました。

2.jpg
色合いとか、人物の扱いとか。
シアンから、白はさんでの、イエローにいくグラデーションとか。
赤い日の出のイラストとか。
調べてみると、デザイナーの小田島さんは、『1980年代のポップイラストレーション』に感銘を受けた、らしいのでその影響かな〜とも思いました。
まぁ私は1980年代のポップイラストレーションに詳しくないのですが。(勉強します。)

また、表紙の人物についても、雲田先生ってこんなにパキッと人物塗ってたっけ?っと思わせるような、肌色の印象が強い塗り。
いとしの猫っ毛』の時はもっと水彩のタッチで描かれていたと思うので、おそらく意識的にだと思います。肌色も、ほんのりピンクがかっていますよね。絶妙な色気です。これは特色を使っているのでしょうか、もともとこういう色なのか、気になるところです。
何にせよ、素材の扱いがめちゃめちゃ上手い!



カバーの紙についてですが、たぶん135kgくらいの紙なんですが、アート紙かな〜、コート紙かな〜、ん?って感じでちょっと何とも言えないです。(勉強不足orz)
紙の会社によっても名前は違いますしね。触った感じだと、私の知ってるので、Gコートとかサテン金藤が近いのですが、もっとマットな感じもしますね。裏の方が光沢ありそうなので片面アート紙かも。
えっと、つまりBL漫画って、ツルッとしてるのと、しっとりしてるのがありますよね、
しっとりしてる方です!!(諦めた(笑))
光沢は無い方が合ってるのかな、と思います。古い感じを出したいのなら。
本文の紙も、若干赤っぽくって、本当に若干。色更紙の何かでしょう。
この辺ちゃんと答えられるようにしたいので勉強しときます!うん。



ロゴについて、
4
タイトル、著者名とも原稿用紙のマスみたいなので囲まれたデザイン。文学っぽさを思わせるようなこのロゴが、作品の気怠気な、レトロなイメージにぴったりで、「何でこんなの思いついたのっ!?」と正直驚き。
それにこのロゴ、本文で白黒に印刷した時も見栄えしていいですよね。
3



帯も素晴らしいです。
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この色!に白と黒だけのシンプルな文字印刷。
「帯って、結局装丁には邪魔なんだよ」って装丁家の方がおっしゃっていたのをきいたことがありますが、この装丁の場合、断然あった方がいい!

みなさんはどっちが好きですか?
sinnjyuku6.jpg
増刷するたびに帯が変わる漫画とかありますが、この作品にはいつまでもこの帯をセットにして欲しいです。
(この帯の色が横尾忠則風なのかな〜?)



カバー下はゴールドの特色一色です。(ちゃんと光沢あるし、特色のはず)
8.jpg
もうちょっとチープというかキッチュな感じでもいいかな?とも思いましたが、
『毒々しさ』という点ではいい味出してます。
 


外身の話ばかりでしたが、この漫画、中もいいんです!
(中っていっても漫画の内容のことじゃなくて、いや、内容ももちろん良いのですが!)
開いた1ページ目の見開きに、新宿2丁目の写真ひいてあるんです!
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芸が細かい~!
よくある漫画の装丁の1ページ目は、片面イラストが配置してあったり、っていうのが多いかなって思います。
イラストを見開きにしてソデで隠れちゃったらもったいないですしね。
それはそれでイラストを楽しめて魅力が的ではありますが、
この装丁の場合、この写真の効果で一気に世界観に放り込まれます。



実はこの作品、『2013年度版このBLがやばい!』で見事4位をとられています。(今年のこのBLがやばい!の表紙は中村明日美子先生でしたね。うふふ。)
ので、ご存知の方も多いかと思われます。好きな方は。
おめでとうございます!
私は断トツ1位だと思っていたのでちょっと意外なくらいですが…。
装丁を担当された小田島さんが『何度でも読み返したくなる』とおっしゃっている通り、大変素敵な漫画でした。
未読の方は、ぜひお買い求め下さいませ。
そして、装丁までもじっくり味わって楽しんで下さいね。

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カジワラ

Author:カジワラ
BL漫画のファンです。素敵な装丁の漫画を手に取るとたまらない気持ちになります。
勉強もかねて、BLのことや、装丁、デザイン、書籍周辺などについて、書いていこうと思います。

ご連絡はこちら。
blgasuki★gmail.com
★を@に変えてお送り下さい。

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