BLのデザイン

BL漫画の装丁を中心に、デザインを真面目に見ていくブログです。装丁やデザインについて勉強中。

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2014/11/12

毎日晴天!新装版:菅野彰(原作)二宮悦巳(作画)

大変お久しぶりです。
今回は、『毎日晴天!』シリーズの新装版について紹介させていただきます。
個人的に今回の記事のサブテーマは『BLと花』です。

『毎日晴天!』シリーズは、菅野彰先生原作で、二宮悦巳先生が作画を担当されている小説シリーズです。
2000年前後にもコミック化されているのですが、2013年11月より新装版が発売されるようになりました。
新装版は、現在『毎日晴天!』『子供は止まらない』『チルドレンズ・タイム』の三冊が発行されています。
Amazon情報では今月25日に『子供の言い分新装版』が発売予定ですので、
未読の方は、今のうちにこの三冊を押さえておくと、新刊が発売された時、良いタイミングで楽しめるのではないかと思います。



『毎日晴天! 新装版』
菅野彰(原作)二宮悦巳(作画)
出版社:徳間書店
発売日:2013/11/25
寸法:18 x 13 x 3.2 cm
装丁:百足屋ユウコ(ムシカゴグラフィクス)

Charaコミックスの人気タイトルで、全2巻だった既刊を1冊にまとめ、菅野彰の書き下ろし小説を加えたファン待望の新装版。
SF雑誌の編集者・帯刀大河(おびなたたいが)に、ある日突然 新しい家族ができちゃった!? 寝耳に水の 姉の結婚で、義兄となった阿蘇芳秀(あすおうしゅう)は、 なんと担当作家で、高校時代のクラスメート。 でも大反対する大河をよそに、肝心の姉が いきなり失踪!! おかげで大河は弟達の面倒を 見つつ、なし崩しに秀と同居するハメに…!?




この作品は徳間書店さんよりCharaコミックスとして発売されています。
私は結構混同しがちなんですけど、『Chara(キャラ)』は偶数月発売で、『Chara Selection』は奇数月発売の雑誌なんですね。
あと、Charaレーベルさんには年二回発行されている『小説Chara』や、WEBマガジンの『Char@(キャラット)』などがあります。
Charaレーベルさんに持っている印象としては、歴史が古い!と勝手に思っています。
TONO先生の『カルバニア物語』や、
吉原理恵子先生 (原作)禾田みちる先生(作画)の『幻惑の鼓動』など、長く連載が続いている作品の印象からかもしれません。
長年変わることの無かったCharaコミックスのフォーマットが変わったこと話題になり、
驚かれた方もいるのかなと思います。
その辺りのことは書くと長くなっちゃいそうなので、また別の記事にまとめたいと思います。



装丁を担当されたのは、ムシカゴグラフィクスさんの、百足屋ユウコさんです。
http://www.musicago.com
ムシカゴグラフィクスさんは、デザインも素敵だな〜と思うものが多くて拝見させていただいているのですが、社風がすごく個性的で、面白いデザイン事務所さんです。
Webサイトを見て頂けるとわかるのですが、社員さんが虫に例えられていたり、オフィスを「カゴ」と呼ばれていたり、魅力的な社風だと思います。
BL作品では、日高ショーコ先生の『憂鬱な朝』の装丁も手がけられています。



それでは装丁を見ていきたいと思います!
冒頭でも書きましたが、今回のサブテーマは『BLと花』なので、そこにも注目して見て頂きたいです。
mainiti5.jpg

mainiti1.jpg
現在発行されている新装版の三作品は、一貫してグレーの背景に、キャラクターと花のイラストレーションが構成されています。グレー(というか、薄鈍色?)の背景がモダンな印象にさせています。花の色合いと、差し色もより美しく見えます。
加工はマットPPです。

mainiti2.jpg
『毎日晴天!』の表紙には、帯刀家の面々と阿蘇方親子ですね。
オレンジの花は『ノウゼンカズラ』だと思います。
『ノウゼンカズラ』はつる植物で、花もツルもとても柔らかい植物です。
垣根から花が溢れるように、垂れ下がっている光景を目にしたことがあります。
ロゴタイポにも差し色のオレンジが使われていて素敵です。

mainiti3.jpg
『子供は止まらない』での表紙を飾るのは、真弓ちゃんと勇太です。
紫の花は『桔梗』ですかね。
『桔梗』は秋の七草にも数えられていて、割と身近にも自生している花です。
背景に使われているグレーが、ほんの少し黄味をおびているように思います。
桔梗の紫がより美しく感じます。

mainiti4.jpg
『チルドレンズ・タイム』では、真弓勇太カップルにウオタツ、裏面にはこの巻より登場するキャラクターがいます。
ピンク色の花は『ハナミズキ』でしょう。
小学校の校庭に植えてあったので、懐かしいです。
花をたくさんつけるし、秋には紅葉するし、赤い実を付けたりして見た目に楽しいので、庭木としてオススメです。
背景のグレーがここではほんの少し赤みをおびている気がします。
色気のあるグレーです。


ここまでつらつら花の名前をあげてきましたが、なぜ花に注目して欲しいかというと、
『花』は様々な情報を表現するモチーフだなと、この作品を見て改めて思ったからです。
『ノウゼンカズラ』『桔梗』『ハナミズキ』これらはどれも、庭先にあるような花で、身近な植物だと思います。
(と言っても、私が田舎育ちなのでより身近に感じるのかもしれませんが。)
少なくとも、花屋さんで買うような花とは少し違いますね。
売っているかもしれませんが、買う花というよりは『育てる花』だと思います。
(もしくは勝手にその辺に育ってる花。)
これらの花は、この作品を表現しているモチーフだと思いました。
この作品ならではの、日常にある豊かさや華やかさが表現されていると思います。
それぞれの花の開花時期と、物語の季節がリンクしてるのもさり気なくすごく良いなと思いました。


これって花の知識が無いと伝わらないのでは?と思われるかもしれませんが、花の特徴を忠実に描いているだけで、花から語られるものはたくさんあるのではないでしょうか。(なんか華やかとか、なんか庶民的とか、なんかエロいみたいな感覚です。)

比較対象として、同じくムシカゴグラフィクスさんが装丁を担当され、Charaコミックスさんから発売されている、日高ショーコ先生『憂鬱な朝』を見てみます。

1巻『牡丹』、2巻『菊』、3巻『ハナミズキ』、4巻『スイフヨウ(酔芙蓉)』、5巻『薔薇』などがモチーフとして使われています。(花の形状から見た推測なので、正確ではないかもしれません。)
『牡丹』、『菊』、『薔薇』など、少し格式の高いイメージの花が多いです。
『ハナミズキ』はこちらの作品でも使われていますが、白だと印象がまた違って、無垢で清潔な印象です。
『スイフヨウ(酔芙蓉)』は、一日花で朝咲いたら夕方には萎んじゃう花です。
見た目は華やかなのですが、妖艶な印象のある花です。
美麗で凛とした、強い印象の花が多い気がします。
この作品の品格の高さを感じます。
同じ『花』をモチーフに使ったデザインですが、随分印象が異なるのではないでしょうか?



装飾モチーフとして花を使うのは、少女漫画ならではの表現かなと思っていましたが、同じ女性を対象にしたジャンルなだけあって、BLにも当てはまる部分があるのだと思います。
(今は少ないのかもしれませんが、イケメンの背景にバラが咲いてるとか、恋に落ちた瞬間背景に花が咲くとか。)
個人的に、花に情緒をのせてる少女漫画って好きで、
花を表紙のモチーフとして使っている作品で好きなのが、『彼氏彼女の事情』シリーズです。
全巻一貫してそうというわけではないのですが、植物が印象的な使われ方をされています。(文庫版ではなくコミックスの方。)

キャラクターと、そのキャラクターをイメージさせるような花のイラストレーションです。

人物や感情を花に例えたりする感覚ってすごくよくわかる感覚なのですが、
どれくらいの共通の感覚なのでしょうか。
『立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花』なんて言葉があるくらいですから、
そこそこ昔からある共感覚な気がします。
(少女漫画と花のモチーフの関係性について、ちゃんと考え始めたら膨大なレポートになりそうなので一旦やめますが。)



で、花のモチーフの使われ方でさらに気になるのが、
特に物語に花が関係していなくても、花のモチーフが表紙に使われているという点です。
舞台が花屋さんの物語や、タイトルに花が絡んでいる物語の表紙に花が使われているのは、ある意味筋の通った理由があるというか「なぜ?」と聞かれて説明できるモチーフですよね。

花の正体を考えた時思い出したのが、最近図形が浮遊しているデザインをよく目にするということ。
三角形とか、星とか、矢印とかが浮遊しているデザインです。
その図形が何を表しているのかわからなくて、ずっと考えていました。
流行の一端かなとも思っていたんですけど、それだけでは説明できないなと思って。
それで今回、花のモチーフについて考えてみて、結局『花』も『浮遊する図形』も、表現しようとしているものは同じなのではないかと思いました。
自分の中では、それらは作品やキャラクターの『オーラ』なんじゃないかなと、解釈しています。
『オーラ』っていう言葉を使うのが正しいのかどうかわかりませんが、結構私の感覚としっくりきていて、浮遊している図形を見ても、ああ『オーラ』だから浮遊してるものだよね、みたいな解釈をしています。

ずっと、図形が浮遊しているデザインに対して苦手意識があったのですが、
(苦手というか「わかんない!これは何が飛んでんの!?」と思っていたのですが、)最近はそうでもなくなりました。
自分がやる表現としてはまだまだ苦手ですが、勉強していきたいなと。
『オーラ』って目に見えないものだから、正解なのか、そうじゃないのか、言葉で説明するのが難しいけど、それを表現したいんだよなーって当たり前のことに、今更気づいたような気がします。
花のモチーフとなると、デザイナーさんの意向よりは、作家さんの表現に頼る部分が大きいのではないかと思うので、コンセプト作りでのやりとりが気になる所です。



私も新装版から手に取った口で、お恥ずかしながら、原作小説は未読なのですが、これから読みたいなと思っています。
ですが、すっかり毎日晴天!シリーズのファンになってしまいました。
家族の中に他人が入ってくることで生まれる、変化や成長、
今読んでも決して古いと感じない、家族のドラマがあります。
家族だからこそ言えない言葉や、気づかなかったことにそっと触れていく過程が、この作品の魅力だと思います。
ちゃんとトキメキのあるBL作品ですが、ああ家族って確かにこうだよなとか、気まずさみたいなものもあるよなとか、思いながら読みました。
『毎日晴天!』は家族の出会いの物語で、『子供は止まらない』『チルドレンズ・タイム』は主に真弓ちゃんと勇太の恋模様を描いています。
この作品の中で、一番好きなキャラクターが末っ子の真弓ちゃんなんですが、私がBLのキャラクターに一番最初に思い描いていたようなイメージまんまの人物だなと思いました。
ルックスは女の子っぽさがあって可愛いんだけど、ちゃんと人間として凛としたところがあるというか、芯があるというか。
不思議と現代っ子っぽさもあるんですよね。とても好きなキャラクターです。

多分この新装版がなければ、毎日晴天!シリーズに出会うことはなかったと思うので、新装版を発売してくださって本当にありがたいです。
ぜひ美しい新装版が発売されたこの機会に、未読の方にお手に取っていただきたいです!!
結構良いお値段かなと思うのですが、満足感はすごく得られるので、
たっぷり一つのBLの世界観に浸りたい気分の方にはオススメです。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
ご無沙汰してしまってすみません。
不定期ですが、よろしければ、今後ともよろしくお願いいたします。
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Author:カジワラ
BL漫画のファンです。素敵な装丁の漫画を手に取るとたまらない気持ちになります。
勉強もかねて、BLのことや、装丁、デザイン、書籍周辺などについて、書いていこうと思います。

ご連絡はこちら。
blgasuki★gmail.com
★を@に変えてお送り下さい。

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