BLのデザイン

BL漫画の装丁を中心に、デザインを真面目に見ていくブログです。装丁やデザインについて勉強中。

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2013/02/04

囀る鳥は羽ばたかない1:ヨネダコウ

第三回目の今回は、
ヨネダコウ先生の新刊、『囀る鳥は羽ばたかない』の装丁デザインをみていきます。
囀る1

発売されてまだ間もないですが、BLファンの間ではずいぶん話題になってるようです。
私も、この作品で一気にヨネダコウ先生のファンになってしまいました。

ヨネダコウ先生は、『2009年度版このBLがやばい!』で、
商業誌デビュー作の『どうしても触れたくない』が見事3位に選ばれ、一躍注目を集めました。
拝読させていただきましたが、そこまで驚きはしなかったです。

それが、今回の作品では、ですよ!驚きました!
正直、しょーじきっ、前作よりずっといいっ!!
やくざの頭が主人公ではありますが、いわゆる任侠ものではありません。マゾの話といえばそうですが、性交を楽しそうに描くような作品でもなく。
ああ、ストーリーや登場人物の魅力について語りたいことは沢山あるのですが、一応デザインブログを目指していますので、大人しく装丁について語ります。
装丁も相当いいです!



では、この作品の基礎情報いきます。

『囀る鳥は羽ばたかない 1』
ヨネダ コウ (著)
出版社: 大洋図書 (H&C Comics ihr HertZシリーズ 129)
発売日: 2013/1/30
商品の寸法: 18.2 x 13 cm
装丁:名和田耕平デザイン事務所

ドMで変態、淫乱の矢代は、真誠会若頭であり、真誠興業の社長だ。
金儲けが上手で、本音を決して見せない矢代のもとに、百目鬼力が付き人兼用心棒としてやってくる。部下には手を出さないと決めていた矢代だが、どうしてか百目鬼には惹かれるものがあった。矢代に誘われる百目鬼だが、ある理由によりその誘いに応えることができない。自己矛盾を抱えて生きる矢代と、愚直なまでに矢代に従う百目鬼。
傷を抱えて生きるふたりの物語が始まる……。


 

この作品は、大洋図書さんで出版されているihr HertZというBL雑誌が初出です。
大洋図書さんは、個人的に大好きな出版者さんなので、
こんなに早く紹介出来るなんて嬉しいです。
大洋図書さんのコミックスは、このihr HertZと、
もう一つ、CRAFTというアンソロジーがあるのですが、
ihr HertZの方が若干エンターテイメント性が高く、
CRAFTの方がストーリー性の高い作品を取り扱ってる、という印象です。
どちらもすごく面白いんですよ!
囀る7囀る8
(右がihr HertZのロゴで、左がCRAFTのロゴ)
ちなみに、ihr HertZのコミックスは、背の部分がテンプレートです。ですから、表紙に使われているタイトルロゴや書体に関わらず、背のタイトルは、ゴシック体で表記されています。
囀る6大洋図書さんのロゴや、テンプレートについてはまた別の機会に詳しく書けたらと思います。



装丁のデザインを担当したのは、名和田耕平デザイン事務所さん。
http://www.nawatadesign.com(わっ、有名所きた。)
素晴らしいデザインの装丁を、いっぱい、いっぱい、いっぱい、されているデザイン事務所さんです。
BL作品ではありませんが、有名なのは『夏雪ランデブー』や、
少女漫画だと『となりの怪物くん』や『好きっていいなよ。』の装丁デザインを手がけています。(両方ともアニメ化されてお忙しいようです)
おそらくこのブログでも、何度も紹介させていただくことになるでしょう。
某、有名装丁ブログでも紹介されているので、詳しく知りたい方はそちらをご覧下さい。



この装丁の魅力は、ずばり、空間の美しさ。
これにつきます。
囀る2

まぁ、その出来た空間っていうのは、どM男がふまれて出来た空間ですけどね。
絶妙なバランスです。(私事ですが、こういう構図でデザインするのヘタクソなんです。
すごく勇気がいる構図です)
人間の顔がこの位置に来るのは、普通ありえないです。(いや、「まぁ、踏まれることってあんまり無いからね〜」とか、そういうことではなくっ(笑))

顔は人物の中でもまず目がいく部分です。さらに言うと、目に目がいきます。(それは男女で違いがあるのでは?という意見もありますね。そういう研究もされているみたいです。だけど、おそらくそれは、相手を性的対象や恋愛対象として見ている場合の統計なんじゃないかと思います)
囀る3
不思議なもので、人間て、『目を合わせないと』という意識を持っているらしいです。
例えば、電車の車内広告なんかは、人物を使っているものが多いですよね。
「広告に、有名なタレント使えばいいと思ってるデザイナーなんて、邪道だ!」と言う人もいますが、そういう理由もあるんですかね。「見させる」技みたいな?
パッケージデザインだと、また話は別でしょうね。
漫画の装丁は、『目につかなければいけない』という、ポスター的要因と、『買わせないといけない』という、パッケージデザイン的要因がどちらもあって、本当に面白いです。

少し話がそれましたね、
目線の誘導は、タイトル文字→人物の顔だと思います。
しかし、パッと見では文字が入ってこないので(笑)、
『よく見なきゃ』という意識になります。
デザイン的には、こんなに見にくい場所(画面のすみっこ)に、見るべきもの(顔)があるのに、何故良いんだ!と、理解に苦しみますが。
う〜ん、どう言葉で説明すればいいんだろう…。
スパコーンと目に入ってきたら、すぐ忘れちゃうけど、ちょっと引っかかりがある方が、忘れがたい。というか惹かれる。ということですかね?(どう思います?)



そして、見づらいと言えば、タイトル文字も!
囀る9
位置こそ中心にありますが、画面に対してこんなに小さいんだよっ!?

しかしこの文字サイズが、空間との兼ね合いで、絶妙に美しいんですよねー。
書体にはシンプルな明朝体を使っているので、本当は、別に見づらくもないですし。
囀る4

前回紹介した、ヤマシタトモコ先生の『ストロボスコープ』では、イラストにタイトルをかぶせることによって、視覚的に一体感を出していますが、
囀る9囀る10
(並べてみて、どっちも美しい…!とうち震える)
この作品では、文字をイラストにまったくかぶせないことで、そこにある「間」を感じさせます。そういう「間」の感覚って、結構、日本ならではの感覚かもしれません。
『「無」がある』と、さり気なく気づかせてくれます。
これが「情緒」というものでしょうか。
(あああっ、この前の授業で情緒が無いって言われた記憶がよみがえるぜええ。ひぃ〜)
本当に………、本当に、勉強させていただいてます。

こういう、画面に対して文字が極端に小さいデザインは、ある意味今の流行です。
(本当にもう、どこのデザインコンペでも授業課題でも皆、こぞってこぞって小さい文字をね………。私もだけど)
昔のデザインは、「見せなきゃ!」という意識が強かったんでしょうか。
印刷技術の関係もあると思いますが。小さい文字を、活版印刷(判子みたいな印刷方法)なんかで刷ったら、つぶれたりしちゃいますし。
文字を大きく配置しなければならないと、デザイン上の無理が出てきますし、やっぱり不自然ですよね。適材適所というものがありますから。
今でも、中高の美術の授業では、『ポスターデザインをするときは、タイトル文字を大きく!』と教えているそうですが、(私もそう教えられました。)実際は、そういうものでも無いと思います。
小さい文字のタイトルでも、良いポスターはいっぱいあります。
もちろん、それを美しく造形するには、目線の誘導だったり、重さのバランスだったり、色味のバランスを考えなければいけないので、ずっと職人的で難しいことだと思いますが、
そうだからこそデザインは面白くて、胸が熱くなりますね。

カバーの紙は、ヴァンヌーボVG ホワイトだと思います。(たぶん、ね。)
とすると、前回紹介したストロボスコープで使われている紙は、おそらくヴァンヌーボVでしょうか。ちょっと柔らかかった感じがしたので。
ヴァンヌーボVGは、ヴァンヌーボVよりグロス(光沢)が強くて、比べるとちょっと固いです。(グロスのGなのかな?)



カバー下はこう。
囀る11
羽がランダムに散らされています。
バサバサ羽ばたいてるみたいな印象を受けました。
可愛いですけど、「羽ばたかない」っつってんだから、羽はもっとさり気なくてもよかったんじゃないかと思います。
背景の色と羽の色をもっと合わせるとか。一枚だけ、ちらっと配置するとか。



帯はカバーと同じイラストが印刷され、紙もカバーと同じものを使っています。
もし少しでも、帯に過剰なデザインをしようものなら、この構図の意義が一気に崩れてしまうので、当然ですね。
これは、無い方がいいタイプの帯だと思うので、宣伝の必要が無くなったら是非外してほしいです。
やっぱり、良いデザインというのは、
ギリギリの危うさの上に成り立っているのだなー、と思いました。



冒頭でも触れましたが、この作品は、ストーリーもとても、切なくて素晴らしいです。
実はこの作品、続き物で、今回は一巻なのですが、
一巻でこの装丁だと、二巻はどうなるんだろう〜?と勝手に胸をふくらませたりしています。

そして、この作品の続編ではありませんが、
ヨネダコウ先生の次回作、『NightS』が、今週末、2月9日にリブレ出版さんから発売されます。
(だからこのタイミングで紹介させていただきました。うふふ。)
そちらの装丁も、サムネイル画像で見ただけですが、タイトル文字のデザインが特徴的で魅力的でした。
大変楽しみです。はやく読みたい。


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Author:カジワラ
BL漫画のファンです。素敵な装丁の漫画を手に取るとたまらない気持ちになります。
勉強もかねて、BLのことや、装丁、デザイン、書籍周辺などについて、書いていこうと思います。

ご連絡はこちら。
blgasuki★gmail.com
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