BLのデザイン

BL漫画の装丁を中心に、デザインを真面目に見ていくブログです。装丁やデザインについて勉強中。

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2013/02/07

宇田川町で待っててよ。:秀良子

今回紹介するのは、秀良子先生の『宇田川町で待っててよ。』です。
宇田川町1

秀良子先生は、2010年に『イケメンくんとさえない君』でデビューしたばかりの新進気鋭の漫画家さんです。
そして、今ものすごく注目されています。
設定やキャラクターに取り立ててびっくりするものが無かったので、最初は彼女の作品の魅力に気づいていなかったのですが、『彼のバラ色の人生』を読んだあたりから、「あれ、この人なんか違う!」と思い始め(笑)、どっぷりファンになっていました。
抜群に、センシティブな世界観を持つ漫画家さんなんです。大好きです。
ちなみに、『彼のバラ色の人生』は、『2013年度版このBLがやばい!』で10位にランクインしましたね。
とんでもないインパクトのある設定や、大御所の漫画家さんの作品が並ぶ中で、この順位はすごいと思います。



では、基礎情報から。

『宇田川町で待っててよ。』
秀良子 (著)

出版社: 祥伝社(Feelコミックス オンブルー)
発売日: 2012/10/25
ページ数: 192ページ
商品の寸法: 18 x 13 xcm
装丁:小林満(GENI A LOIDE)

渋谷区宇多川町。
人通り多い街中で、同級生・八代の女装姿を目撃してしまった百瀬は、
その日から毎日、「あのこ」のことを考えてしまう。
一方、そんな百瀬の様子に戸惑いつつも、熱の籠もった目線をそらせない八代は
渡された女子高の制服に袖を通し、彼の前に立つが…。

臆病な女装男子と、一途すぎる男子高校生の不器用で青いラブストーリー。




またまたonBLUEさんのコミックスです。
なるべく、まんべんなく出版社さんや、デザイン事務所さんを取り上げたいと思っているのですが、onBLUEさんのコミックスの装丁は、本当に、素敵な物が多い!
特に、この装丁は素晴らしいので、どうしても紹介させて下さいっ!

もちろん、私の好みや流行にとらわれず、素晴らしいものは紹介したいなと思っているので、「この装丁素敵だったよ」とか、「このデザインについて知りたい」とかあったら、Twitterやコメント欄でアドバイスを下さると嬉しいです。



装丁のデザインを担当されたのは、
GENI A LOIDE(デザイニングスタジオ・ジェニアロイド)の小林満さん。
http://genia.blog20.fc2.com
この方も、漫画の装丁では有名な方です。
ジョージ朝倉の『愛蔵版 恋文日和 ⑴・⑵』は、あまりにも装丁が美しくて、
本屋さんでみつけた時、買うつもりは無かったのに買ってしまいました。
最近では、『ジョジョ展』のロゴタイプデザインや、
ジョジョ展で発売されるポスターやグッズのデザインを担当されたそうです。
ブログで拝見させていただいたのですが、ものすごく魅力的なデザインでした。



この表紙を知らない人が見て、まず思うであろうことは
「女やん!」と。
宇田川町2
(女じゃないです。女装した主人公です。)
この作品は、いわゆる『女装』がテーマの作品です。
これまでも女装をテーマにした作品はいくつかありましたが、この作品では、『変に女装が似合ってたりしない』等身大の主人公を描いていているという点で、新しいと言えるのではないでしょうか。(最近は多いですよね。)

デザイン的な面から見ても、ここまで完璧に女装した人物をメインにした表紙は、あまり無かったと思います。
今のBL業界は『BLっぽさをなくす』傾向があると、以前Twitterでつぶやきましたが、
むしろ『BLっぽくなくてもいける!』という風に、新しい流れが生まれた結果なのかもしれません。
BL業界での女装ジャンルの傾向については、またいずれ詳しく書きたいと思います。
(結構重要な意味合いを持っている気がするので。)



では、デザインをしっかり見ていきます。
表表紙は、横顔とタイトルだけの大胆かつシンプルな構図なのですが、
裏表紙に百瀬(攻めのね)の横顔があります。
宇田川町3
表と裏で、シンメトリーな構図の美しさに加え、「見つめ合ってる」という意味合いがプラスされて、なおトキメキます!
見る人の目線も、人物(八代)の目→タイトル→裏返して人物(百瀬)の目、という流れなので、見つめ合ってる情感に感情移入しやすいのかもしれません。



また、背景の色も大胆で目につきますね。
この蛍光ピンクは特色のものでしょうか?すっごくキレイですよね!
(本当はもっともっとキレイなんです!鮮やかな蛍光ピンク。)
特色って言うのは、C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=黒、のCMYK意外の色ってことです。金とか銀とか、あと、蛍光カラー。
最近は、特色にも色んな種類があって、新しい色を作ったりもできるみたいです。表現の幅が広がりますね。



さらに、キュンとしたのが、ソデと、見返しの色を合わせてあること!
(見返しとは、最初に開いたページの、右側です。ソデは表紙の続きの部分)
宇田川町4
この装丁は、ソデまでイラストがあるので、
髪の毛の色と、見返しの色を合わせてあるんですね。
レモンイエローがかわいい!

裏表紙側の見返しはこんな感じで、
宇田川町5
百瀬は黒髪だから、裏面の見返しは黒なんです。
素敵!こういう繊細なこだわりを見せている装丁は、秀良子先生の作品と合っているのかもしれません。
秀良子先生の作品も、大胆さと繊細さを合わせ持っています。



表紙の紙は、コート紙に、UVニス加工あるいはPP貼加工を施したものだと思います。
つるーん、としてます。
艶やかな光沢と、耐水性がある紙で、身近な物だと、女性向けファッション紙の、表紙の紙の手触りと似てますね。
もちろん紙ですので、水浸しにしたらぼろぼろになりますけど、少しの雫ならしみ込まないくらい、耐水性がばっちりです。
(表紙の美しさに感動してこぼれた涙とかなら余裕で平気です!)

第一回目の『新宿ラッキーホール』を紹介する際、紙についていい加減なことを言いましたが、おそらく、コート紙にマットニス加工をほどこしたものではないかと。(光沢を押さえたニス加工です)
※正解は、コート紙にマットPP加工だそうです。
後から紙に施すような加工は、いくつかありますので、より最適な紙をカスタマイズすることができるんですね。



帯にはトレーシングペーパーが使われています。厚みがあるので(たぶん168kgくらいの紙でしょうね)ちょっと高級感もあります。
帯も、この装丁の見所となる点で、
トレーシングペーパーは透け感があるので、表紙の、鮮やかなピンクが透けてみえてます………。
宇田川町8
こ、これはもう、たまんない色気っ!
透け感のある女性用下着みたいな魅力がありますね。清楚なブラウスとか。

帯に、トレーシングペーパーのような透け感のある紙を使うことは、今はもうそんなに珍しいことではないのですが、この作品では、『女装』がテーマということで、作中でもファッションについても触れている部分が多々あります。
自然と、そういうものを彷彿とさせる、ベストで、かつ天才的な紙の選択だったのではないでしょうか。

ただ、ちょっと気になったのは、表紙の紙と帯のサイズが違ってて、
膨らんじゃうんですよね。もわ〜んとなる。
宇田川町6
おそらく、このトレーシングペーパーは、空気中の水分による膨張が殆ど無いので、
(トレーシングペーパーは樹脂を大量に含んでいるので、プラスチックみたいなものだから)表紙の紙の膨張についていけなくて膨らんじゃうんでしょうね。
紙の痛みの原因にもなるので、硬いトレーシングペーパーを帯に使用する際は、カバーよりも大きく裁断する必要があるのかもしれません。
帯を捨てる人なら問題ないかもしれませんが、こんなに魅力がある帯を捨ててしまうのは
正気の沙汰でないと思います。



カバー下は、おまけ漫画です。
(是非是非買ってご確認を!)
このブログでは取り上げた作品の中では、初のカバー下おまけ漫画!
カバー下がおまけ漫画や、読み物系だと嬉しくなっちゃいますね。
ここにも読むところがあったのか!と。
(デザートの後に、「これ、お茶菓子です」と、スッと二品目が出される感じ。まだあったのか!と。)



タイトルにもある通り、
この作品の舞台は渋谷区宇多川町。
ですから、目次のページや、作品の間の遊びページに、渋谷の写真がひいてあるんです!
宇田川町9宇田川町10

(第一回目に取り上げた、『新宿ラッキーホール』の中にも、写真が使われていましたね。私、写真ひいてある装丁大好きです!)
二次元のものを、三次元に変換して想像出来る喜びですね〜。



と、見所たっぷりの素敵な装丁でした!
もちろん作品自体もとても素晴らしくて、お気に入りの一冊です。
別に恋愛に関わらず、好きな物を好きって言えるのは素敵だなって、じんわり思いました。
私も、BLとデザインと秀良子先生が大好きっ!!
秀良子先生について詳しく知りたい方は、雑誌on BLUEのvol.7に特集が組まれていたので、おすすめです。
今後の秀良子先生の活躍に大注目ですよ!

「デザインを見ると、その時代背景が見える」というのは、デザイン史の講義でも教えられることですが、実際にそれを、ほんの少し体験しているような気になりますね。(本当に気になるだけですけどね。)
自分でもこんなにBL漫画の装丁に興奮して滑稽だな、とは思うのですが、なんだか楽しくなってきました。
今後も、BL漫画でデザインの勉強をさせていただきたいと思います。
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≪ 著作権の問題について。ホーム囀る鳥は羽ばたかない1:ヨネダコウ ≫

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Re: タイトルなし

リクエストありがとうございます。
私も、気になる装丁でしたので、
今後機会があれば紹介させていただきます!

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プロフィール

カジワラ

Author:カジワラ
BL漫画のファンです。素敵な装丁の漫画を手に取るとたまらない気持ちになります。
勉強もかねて、BLのことや、装丁、デザイン、書籍周辺などについて、書いていこうと思います。

ご連絡はこちら。
blgasuki★gmail.com
★を@に変えてお送り下さい。

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