BLのデザイン

BL漫画の装丁を中心に、デザインを真面目に見ていくブログです。装丁やデザインについて勉強中。

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2015/02/18

スペインで見つけた装丁.1

以前スペインに行った時に購入した本を、いくつか紹介します。
(今回はBL関連の記事ではないです。またBLネタでも書きます!)
書籍、造本、装丁などにも興味がある方はよろしければお付き合いください。

スペイン旅行については、以前こちらに書きました。
建築とかについて主に書いています。

そんなに頻繁に海外に行く人ではないので、たくさんコレクションしているわけでも、
海外の書籍に詳しいわけでもないのですが、
その分新鮮な驚きや、日本の書籍との違いに気づくことは多かったです。
頻繁に海外に行く人にとってはあたりまえの情報ばかりだと思うので、
改めて書くのが恥ずかしいですが…。(未だによくわからない点も多いです。)



スペインに入ってからは色々、装丁の面白い書籍も購入してきたのですが、
まずはフランスの空港で購入したものについて書きます。
空港の売店で売っていたものなので、長時間の移動とか、乗り換えの時に読むんでしょうね。(日本でいう文庫本みたいな位置づけなのかな。)
以下紹介するものは空港の売店で購入しましたが、町中にある普通の書店でも多く取り扱っていました。
ちなみに売店はこのような感じです。
esp1-4.jpg



まず、最初に購入したもの。
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Amazonの該当ページ

『LONE WOLF』
JODI PICOULT(著)
ペーパーバック版出版社:Hodder & Stoughton(イギリスの出版社)
発行日:21 Nov. 2013
言語:英語
メディア形態:印刷(ペーパーバック)
大きさ:13 x 3.1 x 19.7 cm
価格:£6.99


この作品はAtria Books(アメリカの出版社)が初出で、ニューヨークタイムズのベストセラーリストにも載ったそうです。
だから色んな国で色んな形態で発行されているのでしょうね。
著者のJODI PICOULTさんは『私の中のあなた(原題:My Sister's Keeper)』の作者として有名な方だと思います。

『私の中のあなた』は映画化されたり、日本語にも翻訳されて出版されています。
キャメロン・ディアスと、子役(だった頃)のアビゲイル・ブレスリンが出てる映画です。
この映画はすごく流行ってたので私も見ました。


jodi1-1.jpg
キレイな表紙だな〜とは思うんですけど、それはそれとして、
『JODI PICOULT』が著者名で、『LONE WOLF』が作品名だということに驚きました。
書籍の表紙の文字サイズは、作品名>著者名だと長年の習慣で思っていたので。
読めば人物名か作品名かくらいわかるでしょ?って感じかもしれないけど、自分は本当に英語できないので、しばらく「JODI PICOULTっていう本か〜。へ〜。」って思っていました。本当に。
じゃあ海外の書籍のレイアウトは著者名>作品名が主流なのか、というと必ずしもそうではないから余計に「何で?」って思います。
○○(作者)による■■(作品)っていう意識が強いのか、あまりにも人気作家だからかとか、色々想像はしているのですが、ぶっちゃけ今でも「何で?」って思ってるので、詳しい方いたら教えてください!!
これを見て、村上春樹とかタイトルより作家名大きくした方が売れそうとか思ったり。

kaigai1-3_201502180358349d9.jpg
奥付によると、ハードカバー版も同時期に発行されているようですが、
私が購入したのはソフトカバー(並製本)でカバーはなく、
いわゆるペーパーバックといわれるものです。
本文は藁半紙です。藁半紙なので厚みはありますが、とても軽いです。
(黄味があるので本文の紙としてはちょっと主張が強いように感じますが、多分読んでると慣れる思う。)

ペーパーバックと聞いて、私が一番に思い浮かべるのはコンビニに売ってる漫画です。
コンビニコミックとか廉価版コミックスと呼ばれているそうです。
(詳しくはWikipedia参照。)
コンビニコミックには「なんか安っぽくてダサい」というイメージを持っていました。
ダサいと言うか、ごちゃごちゃしてる印象があります。
帯が無く、煽りやあらすじが表紙にレイアウトされているので、通常の文庫本やコミックスより表紙の情報量が多いです。

左がコンビニコミック版『ハチミツとクローバーvol.1』
右がコミックス版『ハチミツとクローバー(1)』です。どうでしょう。

コンビニコミックは元々「コンビニで弁当と飲み物と一緒に買っても1000円に収まる価格帯」という設定で1999年7月から始まったそうです。
電子書籍が普及し始めて、いつでも手軽に書籍が購入できるようになったり、単行本を扱うコンビニが増えたりして、コンビニコミックへの需要は変化しているのではないかと思いますが、
この最初の設定は人間味を感じて好きです。
コンビニコミックは「安っぽい」じゃなくて実際に安いので、価格帯に適したデザインだと思っています。
コンビニで取り扱ってる書籍の変遷とか調べたら面白そうだな。

上記のような潜在意識があるので、この『LONE WOLF』を見た時
「え〜ペーパーバックなに全然ダサくないじゃん!」って驚きました。
この書籍には4C+エンボス加工が施されています。
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ペーパーバックの書籍にエンボス加工!?安くしたいのかそうじゃないのかわからない!
6.99£なので、1300円くらいですかね。私は空港で買ったので11.70€(1500円くらい)で買いました。
ハードカバーが£18.14(3300円くらい)なので、それと比べたら断然安いですね。
日本人の感覚だと文庫本に1000円以上するのは高い気がしますが、
英国で中村春菊先生の『純情ロマンチカ(英語版)』を買おうとしたら£7.01なので、そこは物価の違いですね。

ペーパーバックの書籍が想像以上にあふれていました。
というか、日本が特別カバー有り製本が多いのかも。
製造流通の関係でたまたまどちらかのスタイルが定着したのか、好みなのかわかりませんが。
日本ではどんなに薄い文庫本でもカバーがあるのが当たり前で、それはそれで不思議なことなのかも。

コミックスも、ソフトカバー(並製本)+カバーが主流です。
なので、ペーパーバックのような製本が、表現として魅力的に見えたりします。
以前紹介した、雨隠ギド先生の『犬とツバメ』も並製本のカバー無しです。
見慣れていない私には、珍しくて特別なものに見えました。
手軽で安価という以上に、ペーパーバックの印刷表現は奥深いみたいです。



以下、同じように空港の売店で買った本を紹介します。
どちらもペーパーバックの書籍で、レイアウトなど、最初に紹介した『LONE WOLF』と似ている部分が多いのでその辺は省略します。

john1-1.jpg
(Amazonの該当ページ)

『the associate』
john grisham(著)
出版社:Arrow Books
発行日:5 Nov. 2009
言語:英語
メディア形態:印刷(ペーパーバック)
大きさ:12.9 x 3 x 19.8 cm
価格:£5.99


この作品はザック・エフロン主演で映画化する予定らしいです。
日本でも上映されたらいいな〜。
著者のjohn grishamさんはリーガル・サスペンスを得意とする作家さんだそうです。
『評決のとき』や『依頼人』など映画化して日本でも公開されたものもあるみたいなので、観たいなと思っています。

4C+箔押し(銀)+エンボスだと思います。あと+マットニスのような部分があります。
どうして表紙にスパイダーマンみたいな人がいるのかは、読んでないのでわかりません。



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(Amazon該当ページ)

『Death Comes to Pemberley』
P.D. JAMES(著)
出版社:Faber & Faber
発行日:1 juillet 2012
言語:英語
メディア形態:印刷(ペーパーバック)
大きさ:19.6 x 12.6 x 2.4 cm
価格:£6.99


3色+マットPP+光沢ニス+エンボスだと思う。
表2に印刷があるのに表1にエンボス加工してるの珍しい気がする。
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パパッと表紙だけ見て気に入ったものを選んで買ってきましたが、
結構どれもおもしろそう〜。やっぱり装丁買いには根拠はあるのかな。
いよいよ奥付訳すだけで気が狂いそうになる語学力なのが悲しいです。
でも、いつか読みたいな。いつか…。



これは空港で手に入れた新聞です。
sinbun1.jpg
結構しっかりした新聞に見えますが、これはフリーペーパーです。
もちろんちゃんと売ってる新聞もたくさんあります。
読めたら違いがわかるのだと思いますが、正直全然違いがわからない。
空港では、こういう無料で配布されている新聞もたくさんありました。



ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。
今回はちょっと地味目な記事になりましたが、
次からは面白い装丁の書籍などを紹介していきたいです。
装丁や書籍のデザインに興味がある方、引き続きよろしくお願いします。

あ、海外の書籍やブックデザインに興味がある方は、
今、印刷博物館で『世界のブックデザイン』という展示をやっているので、オススメです。
2月22日(日)までです。東京近郊にお住まいの方はぜひ!

2015/01/01

壁の中の天使:びっけ

あけましておめでとうございます。
新年一発目は、びっけ先生の『壁の中の天使』の装丁を紹介します。

結構前から紹介したいと思っていて今更なのですが。
帯の紙の選び方が本当に絶妙で感動した作品です。
ストーリーもおとぎ話のようでとても好きなんです。
年に数回は読み返したくなる作品です!!



『壁の中の天使』
びっけ(著)
出版社:茜新社(EDGE COMIX)
発売日:2010/10/28
商品パッケージの寸法:18x13x2cm
装丁:名和田耕平

天使と人が織りなす、とてもロマンティックなおとぎ話――
「――気持ちが込められた絵には魂が宿る」
ユリウスとマリオンは壁に描かれた天使。
壁から抜けだし、夜ごとの散策を楽しんでいたが、そこで一人の男と出会う…。
切なく愛しく紡がれてゆく、珠玉のラブストーリー!




デザイナーは名和田耕平さんです。
名和田耕平デザイン事務所
http://www.nawatadesign.com
以前紹介した、ヨネダコウ先生『囀る鳥は羽ばたかない』と同じデザイナーさんです。
あと、『このBLがやばい!2015年度版』で第1位に輝いた
中村明日美子先生の『O.B.』『O.B.2』のデザイナーさんでもあります。
『O.B.』の装丁も最高だからいつか紹介できたらいいな。




この作品は、壁画の中の二人の天使を主人公に、それぞれの恋が描かれています。
kabeno10.jpg
表1(表表紙)には黒髪の天使、表4(裏表紙)には金髪の天使がいます。
kabeno11.jpg
作中に登場する壁画を思わせるカバーですね。
壁の素材感の表現が印象的で、ぬくもりのあるイラストレーションだと思いました。
カバーの紙は柔らかくきめの細かい紙で、
竹尾の『テイクGA-FS』か『アラベール』かなって思います。
あんまりインクがギラギラ発色しないので良い風合いになります。
しっとり手に馴染む紙です。壁の染みの表現と合ってますね。

タイトルロゴも渕がじわっとしててイラストと合ってます。
kabeno3.jpg



それで、この装丁で一番感動したポイントは、帯です。
kabeno4.jpg
「天使の羽だ!」と思わせるこの紙は、
多分、八王子エフテックスさんの『OKミューズエディ』のホワイトだと思います。
結構個性が強い紙なので、他に類似製品があまり無いですね。
渦潮のような模様を持つ特殊紙です。
(指紋をねじったような模様の紙って表現されてる時もあるけど、指紋だと思うとちょっといやかな(笑))

本来は渦潮のイメージで生まれた紙なのかもしれませんが、
この作品で使われると、作品の主人公である天使の羽イメージと重なって
めちゃめちゃいいなと思います。
油絵のマチエールみたいにも思えるし、この作品にぴったりの紙ではないでしょうか。
この帯がかかっていると作品が羽に包まれてるみたいで、とても素敵です。
kabeno5.jpg
あと単純に、キレイに印刷されてるなって思いました。
こういう目に見えるくらい凹凸のある紙に印刷されているサンプルを
あまり見た事がなかったので。
結構細かい文字とかイラストもキレイに刷られていました。
こういう個性の強い紙って使い所が難しいと思うのですが、
作品によってはあつらえたようにぴったりマッチするんだなっていう、
奇跡的なものを感じました。
「この作品にこの紙を合わせた人は天才だな!」と思いました。
紙の選択によっておりなされる、表現の広がりに、ハッとさせられた作品でした。
おとぎ話みたいなストーリーが集約されている装丁だなと思います。



BLでファンタジー作品っていうと、近年割と奇抜な作品が多いので、
そういうイメージを抱かれるかもしれませんが、
おとぎ話みたいな、ずっと語り継がれてきたような普遍性のあるストーリーです。
だから何度も読みたくなるのかなって思います。
未読の方は是非チェックしてみてください。
この作品もしかしたらAmazonに在庫が無いので中古になっちゃうかもしれないのですが、
CHCD Storeで購入できるみたいなので、ご購入の際は是非そちらで。
(帯が魅力的なので是非、帯付きのモノを。)

びっけ先生の描く、10代前半くらいの男の子が色っぽくって本当に可愛いです。
表情とか、キレイで可愛くて。
びっけ先生の作品だと、『comic B's-LOG』で掲載されていた『あめのちはれ』や、
『ITAN』で掲載中の『王国の子』が有名なのかなと思うのですが、
びっけ先生のBLもとても良いので是非読んで欲しいです。
『このBLがやばい!2013年度版』のザ・ベスト20にランクインした
『先輩』も合わせてチェックしてみてください。
(ですが私はびっけ先生の描く、10代前半くらいの男の子が好きで好きで…)


絵を描いてる人にとって、自分の書いた絵が動き出すって乙女チックな夢ですよね。
ぜんっぜんこの作品と関係ない余談ですが、
作家さんって自分の作品を自分の子供みたいに思っていたり、そういう扱いをしていたりするので、自分が描いた絵と恋をするって結構背徳的だなと思ったりします。まったくの余談ですが。



ふと思いついたので、以下『天使』を題材にした作品をちょこっと紹介します。

最近だと、はらだ先生の『変愛』の中に収録されていた
『止まり木』が個性的な天使BLで面白かったです。
きゅんとする切なさと、でろでろのエロさの見事な共演です。
今回紹介した『壁の中の天使』とはまったく違ったストーリーですが
本当に面白いのでオススメです。
で、Amazonのリンク貼ろうと思って調べてたら、都条例の指定になってました。
(う〜ん、わからなくはないですが、ちょっと残念ですね。)
まぁ箔がついたということで、こんな時こそ電子です!
http://bookstore.yahoo.co.jp/shoshi-368354/
エロだけじゃないドラマと、切なさがある作品なので是非チェックしてみてください。
きっと成人本としてまた流通ルートにのることを期待しています。

あと、寿たらこ先生の『GARDEN』に収録されている『コンクリート・ガーデン』では、斬新な天使の解釈がされていて、他には無い魅力的な作品だと思います。

こちらもしっかり読み応えのある作品で、オススメです。

あと、BLではないかもしれませんが、CLAMP先生の『Wish』とか、
中々ときめく作品ですよね。

天使に性別はないと言いますが、翡翠さんと黒燿さんとかね、萌えます。
この作品をBLだと思ったら「もの足りない」かもりれないけど、
この「もの足りない」感じがたまらなかったりするこのジレンマはなんなんでしょうね!
でもそのBL要素でお腹いっぱいにしない所がたまんないです。CLAMP先生の作品は。


読んで下さった方、ありがとうございました。
今年も、いろいろ脱線しながら紹介していくのだと思います。
不定期ですが、今年度もよろしくお願いします。

2014/11/12

毎日晴天!新装版:菅野彰(原作)二宮悦巳(作画)

大変お久しぶりです。
今回は、『毎日晴天!』シリーズの新装版について紹介させていただきます。
個人的に今回の記事のサブテーマは『BLと花』です。

『毎日晴天!』シリーズは、菅野彰先生原作で、二宮悦巳先生が作画を担当されている小説シリーズです。
2000年前後にもコミック化されているのですが、2013年11月より新装版が発売されるようになりました。
新装版は、現在『毎日晴天!』『子供は止まらない』『チルドレンズ・タイム』の三冊が発行されています。
Amazon情報では今月25日に『子供の言い分新装版』が発売予定ですので、
未読の方は、今のうちにこの三冊を押さえておくと、新刊が発売された時、良いタイミングで楽しめるのではないかと思います。



『毎日晴天! 新装版』
菅野彰(原作)二宮悦巳(作画)
出版社:徳間書店
発売日:2013/11/25
寸法:18 x 13 x 3.2 cm
装丁:百足屋ユウコ(ムシカゴグラフィクス)

Charaコミックスの人気タイトルで、全2巻だった既刊を1冊にまとめ、菅野彰の書き下ろし小説を加えたファン待望の新装版。
SF雑誌の編集者・帯刀大河(おびなたたいが)に、ある日突然 新しい家族ができちゃった!? 寝耳に水の 姉の結婚で、義兄となった阿蘇芳秀(あすおうしゅう)は、 なんと担当作家で、高校時代のクラスメート。 でも大反対する大河をよそに、肝心の姉が いきなり失踪!! おかげで大河は弟達の面倒を 見つつ、なし崩しに秀と同居するハメに…!?




この作品は徳間書店さんよりCharaコミックスとして発売されています。
私は結構混同しがちなんですけど、『Chara(キャラ)』は偶数月発売で、『Chara Selection』は奇数月発売の雑誌なんですね。
あと、Charaレーベルさんには年二回発行されている『小説Chara』や、WEBマガジンの『Char@(キャラット)』などがあります。
Charaレーベルさんに持っている印象としては、歴史が古い!と勝手に思っています。
TONO先生の『カルバニア物語』や、
吉原理恵子先生 (原作)禾田みちる先生(作画)の『幻惑の鼓動』など、長く連載が続いている作品の印象からかもしれません。
長年変わることの無かったCharaコミックスのフォーマットが変わったこと話題になり、
驚かれた方もいるのかなと思います。
その辺りのことは書くと長くなっちゃいそうなので、また別の記事にまとめたいと思います。



装丁を担当されたのは、ムシカゴグラフィクスさんの、百足屋ユウコさんです。
http://www.musicago.com
ムシカゴグラフィクスさんは、デザインも素敵だな〜と思うものが多くて拝見させていただいているのですが、社風がすごく個性的で、面白いデザイン事務所さんです。
Webサイトを見て頂けるとわかるのですが、社員さんが虫に例えられていたり、オフィスを「カゴ」と呼ばれていたり、魅力的な社風だと思います。
BL作品では、日高ショーコ先生の『憂鬱な朝』の装丁も手がけられています。



それでは装丁を見ていきたいと思います!
冒頭でも書きましたが、今回のサブテーマは『BLと花』なので、そこにも注目して見て頂きたいです。
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現在発行されている新装版の三作品は、一貫してグレーの背景に、キャラクターと花のイラストレーションが構成されています。グレー(というか、薄鈍色?)の背景がモダンな印象にさせています。花の色合いと、差し色もより美しく見えます。
加工はマットPPです。

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『毎日晴天!』の表紙には、帯刀家の面々と阿蘇方親子ですね。
オレンジの花は『ノウゼンカズラ』だと思います。
『ノウゼンカズラ』はつる植物で、花もツルもとても柔らかい植物です。
垣根から花が溢れるように、垂れ下がっている光景を目にしたことがあります。
ロゴタイポにも差し色のオレンジが使われていて素敵です。

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『子供は止まらない』での表紙を飾るのは、真弓ちゃんと勇太です。
紫の花は『桔梗』ですかね。
『桔梗』は秋の七草にも数えられていて、割と身近にも自生している花です。
背景に使われているグレーが、ほんの少し黄味をおびているように思います。
桔梗の紫がより美しく感じます。

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『チルドレンズ・タイム』では、真弓勇太カップルにウオタツ、裏面にはこの巻より登場するキャラクターがいます。
ピンク色の花は『ハナミズキ』でしょう。
小学校の校庭に植えてあったので、懐かしいです。
花をたくさんつけるし、秋には紅葉するし、赤い実を付けたりして見た目に楽しいので、庭木としてオススメです。
背景のグレーがここではほんの少し赤みをおびている気がします。
色気のあるグレーです。


ここまでつらつら花の名前をあげてきましたが、なぜ花に注目して欲しいかというと、
『花』は様々な情報を表現するモチーフだなと、この作品を見て改めて思ったからです。
『ノウゼンカズラ』『桔梗』『ハナミズキ』これらはどれも、庭先にあるような花で、身近な植物だと思います。
(と言っても、私が田舎育ちなのでより身近に感じるのかもしれませんが。)
少なくとも、花屋さんで買うような花とは少し違いますね。
売っているかもしれませんが、買う花というよりは『育てる花』だと思います。
(もしくは勝手にその辺に育ってる花。)
これらの花は、この作品を表現しているモチーフだと思いました。
この作品ならではの、日常にある豊かさや華やかさが表現されていると思います。
それぞれの花の開花時期と、物語の季節がリンクしてるのもさり気なくすごく良いなと思いました。


これって花の知識が無いと伝わらないのでは?と思われるかもしれませんが、花の特徴を忠実に描いているだけで、花から語られるものはたくさんあるのではないでしょうか。(なんか華やかとか、なんか庶民的とか、なんかエロいみたいな感覚です。)

比較対象として、同じくムシカゴグラフィクスさんが装丁を担当され、Charaコミックスさんから発売されている、日高ショーコ先生『憂鬱な朝』を見てみます。

1巻『牡丹』、2巻『菊』、3巻『ハナミズキ』、4巻『スイフヨウ(酔芙蓉)』、5巻『薔薇』などがモチーフとして使われています。(花の形状から見た推測なので、正確ではないかもしれません。)
『牡丹』、『菊』、『薔薇』など、少し格式の高いイメージの花が多いです。
『ハナミズキ』はこちらの作品でも使われていますが、白だと印象がまた違って、無垢で清潔な印象です。
『スイフヨウ(酔芙蓉)』は、一日花で朝咲いたら夕方には萎んじゃう花です。
見た目は華やかなのですが、妖艶な印象のある花です。
美麗で凛とした、強い印象の花が多い気がします。
この作品の品格の高さを感じます。
同じ『花』をモチーフに使ったデザインですが、随分印象が異なるのではないでしょうか?



装飾モチーフとして花を使うのは、少女漫画ならではの表現かなと思っていましたが、同じ女性を対象にしたジャンルなだけあって、BLにも当てはまる部分があるのだと思います。
(今は少ないのかもしれませんが、イケメンの背景にバラが咲いてるとか、恋に落ちた瞬間背景に花が咲くとか。)
個人的に、花に情緒をのせてる少女漫画って好きで、
花を表紙のモチーフとして使っている作品で好きなのが、『彼氏彼女の事情』シリーズです。
全巻一貫してそうというわけではないのですが、植物が印象的な使われ方をされています。(文庫版ではなくコミックスの方。)

キャラクターと、そのキャラクターをイメージさせるような花のイラストレーションです。

人物や感情を花に例えたりする感覚ってすごくよくわかる感覚なのですが、
どれくらいの共通の感覚なのでしょうか。
『立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花』なんて言葉があるくらいですから、
そこそこ昔からある共感覚な気がします。
(少女漫画と花のモチーフの関係性について、ちゃんと考え始めたら膨大なレポートになりそうなので一旦やめますが。)



で、花のモチーフの使われ方でさらに気になるのが、
特に物語に花が関係していなくても、花のモチーフが表紙に使われているという点です。
舞台が花屋さんの物語や、タイトルに花が絡んでいる物語の表紙に花が使われているのは、ある意味筋の通った理由があるというか「なぜ?」と聞かれて説明できるモチーフですよね。

花の正体を考えた時思い出したのが、最近図形が浮遊しているデザインをよく目にするということ。
三角形とか、星とか、矢印とかが浮遊しているデザインです。
その図形が何を表しているのかわからなくて、ずっと考えていました。
流行の一端かなとも思っていたんですけど、それだけでは説明できないなと思って。
それで今回、花のモチーフについて考えてみて、結局『花』も『浮遊する図形』も、表現しようとしているものは同じなのではないかと思いました。
自分の中では、それらは作品やキャラクターの『オーラ』なんじゃないかなと、解釈しています。
『オーラ』っていう言葉を使うのが正しいのかどうかわかりませんが、結構私の感覚としっくりきていて、浮遊している図形を見ても、ああ『オーラ』だから浮遊してるものだよね、みたいな解釈をしています。

ずっと、図形が浮遊しているデザインに対して苦手意識があったのですが、
(苦手というか「わかんない!これは何が飛んでんの!?」と思っていたのですが、)最近はそうでもなくなりました。
自分がやる表現としてはまだまだ苦手ですが、勉強していきたいなと。
『オーラ』って目に見えないものだから、正解なのか、そうじゃないのか、言葉で説明するのが難しいけど、それを表現したいんだよなーって当たり前のことに、今更気づいたような気がします。
花のモチーフとなると、デザイナーさんの意向よりは、作家さんの表現に頼る部分が大きいのではないかと思うので、コンセプト作りでのやりとりが気になる所です。



私も新装版から手に取った口で、お恥ずかしながら、原作小説は未読なのですが、これから読みたいなと思っています。
ですが、すっかり毎日晴天!シリーズのファンになってしまいました。
家族の中に他人が入ってくることで生まれる、変化や成長、
今読んでも決して古いと感じない、家族のドラマがあります。
家族だからこそ言えない言葉や、気づかなかったことにそっと触れていく過程が、この作品の魅力だと思います。
ちゃんとトキメキのあるBL作品ですが、ああ家族って確かにこうだよなとか、気まずさみたいなものもあるよなとか、思いながら読みました。
『毎日晴天!』は家族の出会いの物語で、『子供は止まらない』『チルドレンズ・タイム』は主に真弓ちゃんと勇太の恋模様を描いています。
この作品の中で、一番好きなキャラクターが末っ子の真弓ちゃんなんですが、私がBLのキャラクターに一番最初に思い描いていたようなイメージまんまの人物だなと思いました。
ルックスは女の子っぽさがあって可愛いんだけど、ちゃんと人間として凛としたところがあるというか、芯があるというか。
不思議と現代っ子っぽさもあるんですよね。とても好きなキャラクターです。

多分この新装版がなければ、毎日晴天!シリーズに出会うことはなかったと思うので、新装版を発売してくださって本当にありがたいです。
ぜひ美しい新装版が発売されたこの機会に、未読の方にお手に取っていただきたいです!!
結構良いお値段かなと思うのですが、満足感はすごく得られるので、
たっぷり一つのBLの世界観に浸りたい気分の方にはオススメです。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
ご無沙汰してしまってすみません。
不定期ですが、よろしければ、今後ともよろしくお願いいたします。

2014/03/14

【BLごはん】Vintage Romeo:吹山りこ《カステラフレンチトースト》

【BLごはん】二回目です。
【BLごはん】なんぞや?と思われた方は、過去記事をチェック!)
今回は、吹山りこ先生の『Vintage Romeo』に登場する、
《カステラフレンチトースト》を紹介させていただきたいと思います。
相変らずのカフェメニュー!そろそろしょっぱいものが食べたいですか?
でもこの、《カステラフレンチトースト》はとっても美味しいので、是非紹介したかった!


『Vintage Romeo』
吹山りこ(著)
出版社:新書館
レーベル:ディアプラス・コミックス
発売日: 2004/3/30

「俺を、酔わせてみろ」。ここは、ホストもホステスもいるとびきりゴージャスなクラブ《ヴィンテージ・ロミオ》。偶然訪れた央士は、店の上客・志村に気に入られてしまう。甘い香りと大人な雰囲気を漂わせた彼にキスされ、ドキドキの央士。お酒が飲めない志村は、甘い恋で自分を酔わせろと言う。彼に会いたくて央士はこの店のホストになるけれど……?




この、《カステラフレンチトースト》は、
主人公の央士くんの幼馴染みで、クラブ《ヴィンテージ・ロミオ》のキッチンスタッフでもある詩生ちゃんが作ってくれる料理です。
詩生ちゃんは職業にしているくらい料理上手なので、『Vintage Romeo』を始めとする、
この『Romeo』シリーズには、美味しそうな料理が沢山登場します。
詩生ちゃんのお話しは、同じ『Romeo』シリーズの、『Organic Romeo』で読めます。
詳しい『Romeo』シリーズのお話しは下記に記載しています。



とりあえず作ります!(と、言っても例にもれず簡単料理です。)
◎材料と作り方
《材料》
・カステラ(4切れ)
・卵(2個)
・牛乳(50ccくらい)
・バター(ひと欠け)
kasutera1.jpg

《作り方》
1.卵と牛乳を混ぜます。
(卵白が残ると見栄えが悪いのでよく混ぜます。)
kasutera2.jpg

2.そこへ、カステラをダイブ!両面に1.で作った卵液をつけます。
(パンで作る時は、一晩染み込ませた方がいいのですが、
 カステラはぐんぐん卵液を吸い込んでくれるので、すぐ焼いて大丈夫です。)
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3.フライパンにバターを溶かし、焼いていきます。
(フライパンの種類にもよりますが、弱火で蓋をして、
 蒸し焼きみたいにするのがオススメです。)
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4.少し焦げ目がついたら、ひっくり返して両面焼いてね。
(ふちが卵焼きになってるけど気にしない!)
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5.完成!(甘さが足りないと思ったら、粉砂糖などで調節すると良いですよ!)
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kasutera7.jpg
焼きたては、外はカリッとして、中はジュワっと、ふわっとして、美味しいです!
朝食にも、おやつにも、デザートにもぴったりですよ。
カステラ自体に元々甘さがあるので、
自分で味の調節をしなくてもいいのが、この料理の良いところです。
失敗知らず!是非、作ってみてください。

※『カステラ』の話
『カステラ』は、ポルトガルから伝来した洋菓子、というようなイメージがありますが、
実際には、それを元に作った日本の和菓子です。
ポルトガルに『カステラ』というお菓子はありません。
日本では、お土産で一本まるっと貰ったりするポピュラーなお菓子ですが、
少し残しておいて、フレンチトーストにして楽しむのも良いかもしれませんよ!



この、《カステラフレンチトースト》もそうですが、
吹山りこ先生の漫画に登場する小物や食べ物は、少女心をくすぐる絶妙なチョイスで、
そこが吹山先生の漫画の魅力の一つだと思っています。

この『Romeo』シリーズには、
クラブ《ヴィンテージ・ロミオ》を舞台に、6人の男、3組のカップルが登場します。
華やかな世界を舞台にしていますが、夜の世界の生々しさというよりは、
どこかほっとするような、トキメキを運んで来てくれる作品です。
Vintage Romeo』『Organic Romeo』『Sparkling Romeo』の全三冊です。

10年ほど前の作品なので、本屋さんで見つけるのは難しいかもしれませんが、
気になった方は是非、Amazonさんでチェックしてみてください。

実は私、この『Romeo』シリーズで、《カステラフレンチトースト》の他に、
もう一つハマったものがありまして!
それは、『Sparkling Romeo』で物語の重要な鍵となるアイテムの、
炭酸水(スパークリングウォーター)です!(水です!水!)
この漫画を読んでいた時は子供だったので、水に拘るっていう概念が無くて、
(炭酸と言えば、サイダーとかファンタしか思い浮かばないような。)
だから、『オシャレな世界だなー!』って思って、すごく憧れたんです。
中学生時代は、積極的に炭酸水を飲んでいました。
今思えば、格好つけてて逆に恥ずかしいですよね(笑)
でも、私にとって、口の中ではじける無味の水は、初めて知った大人の味です。



ちなみにというか、私は無類の吹山りこ先生ファンです。
(言わずもがな、伝わってしまったかもしれませんが)
初めて自分でお金を出して買ったBL漫画も、吹山りこ先生の『コイ、フワリ』でした。
BLを好きになって、沢山の作品に出会い、それぞれ魅力のある作品ばかりでしたが、
初めて読んだ作品を『好き』になれたか、『トキメキ』を感じたか、というのが、
その先を左右するとても大切な体験だったのだと思います。
吹山先生の作品を読んで、『BL』の世界をこんなに好きになってしまいました。
『私にとって』の、特別な作品です。


吹山りこ先生の作品の魅力についてならいくらでも語れるくらいにはオタクなのですが、
この記事で少しでも吹山先生の世界観を感じて頂けたなら幸いです。
《カステラフレンチトースト》と『Vintage Romeo』を、是非おためしあれ。

2014/03/11

【BLごはん】その恋にはワケがある:秋葉東子《ラッシー》

まず第一回目の【BLごはん】で紹介させていただくのは、
秋葉東子先生の『その恋にはワケがある』より、《ラッシー》です。

《ラッシー》を知っている人は、「ごはん」じゃないないじゃん!とツッコミを入れられた方もいるかもしれません。
そうです。「ドリンク」です。
でも、こういうものしか作れないと思う。ごめんなさい(笑)

『その恋にはワケがある』
秋葉東子 (著)
出版社: 幻冬舎コミックス (2010/2/24)
発売日: 2010/2/24

美しい顔からは想像もつかないほど凶暴な中身をしている蒼井は、男子校で男に言い寄られるのが大嫌い! なのに……!?




《ラッシー》とは?
インド料理の、ヨーグルトをベースに作られたドリンクです。

さて、そのラッシーですが、
この漫画上の、結構重要なシーンに登場します。
登場人物の東くん(攻)が、
蒼井くん(受)に『本格チキンカレー』と『ラッシー』を作ってくれるんですが、
それがまた、美味しそうっ!なんです!
いや〜ここで『本格チキンカレー』も作れたらかっこいいんですが、
ちょっと私にはハードル高いので、また次の機会に(笑)



◎材料と作り方です。
(本場インドの作り方とは違うのかもしれませんが。)
《材料》
・プレーンヨーグルト(適量)
・牛乳(適量)
・塩(ひとつまみ)
rassi1.jpg

《作り方》
1.材料を、シャコシャコ混ぜます。
(牛乳は、緩くしたい人は多めに。)
rassi2.jpg

2.氷を入れたグラスに注いで、完成。
(氷いらない人は無くてもいい。)
rassi3.jpg
ミントなんて飾りさ!

こんな、わざわざ写真まじりで解説するようなものでもないのですが(笑)
作り方を解説するのが申し訳ないくらい超簡単!なので、是非皆さん作ってみて下さいね。
冷蔵庫にヤバめのヨーグルトが余ってた時などにね!
砂糖を入れずに作ると、まったく甘くなくできるので、
カレーなどの、料理のお供にもぴったりです。
(砂糖やフルーツを入れて甘く作るラッシーもあります。)
さっぱりしてて美味しいです◎

外で飲んだのは、インド料理屋さんでカレーセットについてたのを飲んだのが初めてだったのですが、うーん、やっぱり飲むヨーグルト!ですね。
ヨーグルト系の飲料が苦手な方は苦手だと思う。(私は好きですよー。)



この、秋葉東子先生の『その恋にはワケがある』は、
前作の『人はそれを恋とよぶ』のスピンオフ作品です。
男子校を舞台にした明るいラブコメディ!
秋葉東子先生のラブコメはいつも最高です。
同じくルチルで連載していた『俺を愛してもいいんだぜ?』も、
キャラクター(攻)のウザさがいっそクセになる一品です。
是非一度、《ラッシー》と共に、秋葉東子ワールドをお楽しみください。



あと、余談の私の《ラッシー》エピソードですが、
私はこの漫画を読んで初めて《ラッシー》という飲み物の存在を知りました。
という話をツイッター上でしたところ、
「それってヤマシタトモコ先生の『恋の話がしたい』ですか?」ってコメントを下さった方がいたのですが、「え?出てきたっけ?」と思って読み返したところ、出てきていました!
けど、ワンシーンですよ?これを覚えているなんてすごい!
って驚いたんですけど、私も似たようなものなのかな(笑)
BL漫画からは、『デザイン』だけじゃなくて、色々なことを学ばせて頂いています。
感謝感謝。

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プロフィール

カジワラ

Author:カジワラ
BL漫画のファンです。素敵な装丁の漫画を手に取るとたまらない気持ちになります。
勉強もかねて、BLのことや、装丁、デザイン、書籍周辺などについて、書いていこうと思います。

ご連絡はこちら。
blgasuki★gmail.com
★を@に変えてお送り下さい。

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